石持浅海さん「カード・ウォッチャー」 [本☆☆]
総務担当社員と労働基準監督官との労災の臨検を巡る一風変わったミステリです。
石持さんらしい作品です。
ある日、遅くまでサービス残業をしていた株式会社塚原ゴムの研究員・下村が、椅子の背もたれに体重をかけ過ぎて後方に倒れてしまった。そのとき、とっさに身を守ろうとして手首をけがしてしまう。その小さな事故が呼び水となり、塚原ゴムに臨検が入ることになった。突然決まった立ち入り検査に、研究総務の小野は大慌て。早急に対応準備を進めるが、その際倉庫で研究所職員の死体を発見してしまう。所内で起きた、変死。小野は過労死を疑われることを恐れ、労働基準監督署の調査員に死体が見つかることを回避するため、ひたすら隠ぺいしようとするのだが……。
(出版社HPより)
過剰なサービス残業(もちろん違法です)を会社ぐるみで行うという下地はどこかで見聞きしたような現実で、なんだか身につまされる内容でした。
労働基準監督署の調査員が探偵役、民間企業の総務部員が隠ぺいしようとします。ミステリというよりは頭脳ゲームといったほうがよさそうな感じです。
終わり?でも残りページあるな? と思ったところからまさかの推理劇。
しかも意図しない結末になんか切なくなりました。
コメント 0