宮部みゆきさん「桜ほうさら」 [本☆☆☆]
武家の御家騒動と市井の人情ものというなかなか両立しなさそうなテーマの融合です。更にはミステリの趣もあります。
「富勘長屋」「三八野愛郷録」「拐かし」「桜ほうさら」の4章立てです。
舞台は江戸深川。主人公は上総国搗根藩で小納戸役を仰せつかる古橋家の次男坊・笙之介。大好きだった父が賄賂を受け取ったと疑いをかけられて自刃。兄が蟄居の身となったため、江戸へやってきた笙之介は、父の無念を晴らしたい、という思いを胸に、深川の長屋に住み、事件の真相究明にあたる。父の自刃には、搗根藩の御家騒動がからんでいた。野心を抱く者たちに押しつぶされそうになる笙之介は、思いを遂げることができるのか。人生の切なさ、ほろ苦さ、人々の温かさが心に沁みる物語。
(出版社HPより)
武道はからきしだが筆は立つ主人公が江戸の町で家計をたてながら父の冤罪を晴らすために調査をするのですが、長屋の人々の人情に包まれ、恋に落ち、搗根藩江戸留守居役の思惑に操られと盛り沢山です。
経済格差や草食男子などが下地になっている時代背景が現代に似ているようなのは狙いなんでしょうかね。
なかなかにシビアな結末なのは宮部さんらしいというか。
NHKでドラマ化されていたようなんですが、笙之介が玉木宏さん…だいぶ違うような。
https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=housara
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