万城目学さん「悟浄出立」 [本☆☆]
万城目さんが親しんだ中国古典をベースにした短編集です。
「悟浄出立」「趙雲西航」「虞姫寂静」「法家孤憤」「父司馬遷」の5編が収められています。
砂漠の中、悟浄は隊列の一番後ろを歩いていた。どうして俺はいつも、他の奴らの活躍を横目で見ているだけなんだ? でもある出来事をきっかけに、彼の心がほんの少し動き始める――。西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘。中国の古典に現れる脇役たちに焦点を当て、人生の見方まで変えてしまう連作集。
(出版社HPより)
西遊記の沙悟浄はもとより、三国志の趙雲、虞美人、司馬遷といった耳にしたことがある人物が主人公のため、古代中国を舞台にしていても敷居が低く感じました。
万城目さんらしい奔放な想像力というのはなく、淡々と物語が展開されます。
けれども、脇役たちがその役割をよしとせずに行動を起こすターニングポイントが、それまでの鬱屈や葛藤と対比するように鮮やかに描かれます。
『悟浄出立』を書くきっかけは中島敦さんの『悟浄出世』だったそうです。
昔読んだ『李陵・山月記』には収録されてなかったかなぁ。記憶がない。
これを機に読んでみようかと思います。
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