鏑木蓮さん「イーハトーブ探偵 山ねこ裁判: 賢治の推理手帳II」 [本☆☆]
イーハトーブ探偵 山ねこ裁判: 賢治の推理手帳II (光文社文庫)
- 作者: 鏑木 蓮
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2015/07/09
- メディア: 文庫
宮澤賢治を探偵役とするシリーズ第2弾です。
岩手弁(なのかな)の朴訥とした響きが親密さを感じます。
「哀しき火山弾」「雪渡りのあした」「山ねこ裁判」「きもだめしの夜に」「赤い焔がどうどう」の5編です。
石工会社の社長が、採石場で岩の下敷きになり亡くなった。調査を頼まれたケンジは、現場に残されていた黒い粉に気づく。(「哀しき火山弾」)堅固な二重扉に錠が掛かったままの土蔵から、家宝の掛け軸が盗まれた。犯人はどこから入りどこへ消えたのか!? ケンジが披露した驚くべき推理とは?(「山ねこ裁判」)名探偵・宮澤賢治の活躍を描く話題のシリーズ第二弾が登場!
(出版社HPより)
宮澤賢治を探偵役に、親友のカトジ(藤原嘉藤治)をワトソン役にしたシリーズは第2弾ということもあってか親密さが増したような気がします。
犯人の目途はあらかたつくのですが、トリックがなかなか難しいです。しかも想像以上に大掛かりです。
そして人間の弱さゆえに犯してしまった罪を、賢治は冷静な観察と大胆な推理をもって解き明かしていきます。読後感がいいものではありませんが、賢治の置かれた状況なども含めて受け止めました。
賢治の作品と絡めていて彼の世界観を味わえます。
なにより鏑木さんの賢治への敬愛がうかがえる作品です。
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