川端裕人さん「天空の約束」 [本☆☆]
「空の一族」シリーズとでもいいましょうか。
『雲の王』に続く「空の一族」をテーマにした短編集です。
「雪と遠雷」「微気候の魔術師、招かれる」「眠り姫は、夢で見る」「観天の者、雲を名乗る」「天空の妖精が、光の矢を放つ」「分教場の子ら、空を奏でる」「龍のみうろこ、悪戯をする」「透明な魔女は、目の底で泣く」「雲の待ち人に、届け物をする」の連作9編が収められています。
かつて、いずれの時代にも重宝された能力があった―。“微気候”の研究者・八雲助壱は「雲の倶楽部」なるバーを訪れ、小瓶を預かった。八雲は、雲のアーティスト・かすみ、夢で天候を予知する早樹との運命的な巡り会いから、自分たちが代々受け継いできた“天候を感知”する能力を知る。果たして、「空の一族」とは?そして、小瓶との関係は?脈々と続く一族の謎に迫る壮大な気象エンタメ!
(「BOOK」データベースより)
日本各地に散り散りになった、天気を予知したり風の流れが観えたり、気候に関する特殊能力を持つ人々が磁石のように引かれ合っていきます。
『雲の王』のような気象学や色彩に関する説明が少なく、ダイナミックさもないぶんだけ、より物語性が増したように思います。
「分教場の子ら、空を奏でる」のような彼らが戦時中に遭った負の記憶のような出来事もより物語的です。
現実に、マクロ的には気象衛星などの観測データとスーパーコンピュータを使って、より精密な予測を立てています。
「空の一族」のようにミクロでそういったものが「観られる」デバイスが開発されたら異常気象から逃れられることもできるのではないかと期待します。
シリーズ続編も楽しみです。
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