吉田篤弘さん「レインコートを着た犬」 [本☆☆]
「月舟町」三部作の完結編です。語り手は犬のジャンゴです。
なぜ神様は犬に笑顔を授けてくれなかったのか―“月舟シネマ”の看板犬ジャンゴは、心密かに「笑う犬」を目指している。そんなジャンゴの思いをよそに、雨が町を濡らし、人に事件を運ぶ。小さな映画館と、十字路に立つ食堂を舞台に繰り広げられる雨と希望の物語。ゆるやかに呼応する“月舟町”シリーズ三部作の完結編。
(「BOOK」データベースより)
今作は月舟シネマで飼われている犬のジャンゴの視点で、飼い主で映画技師の直さんや映画館でパンを売る初美さん、お馴染みのデ・ニーロ親方、その他 月舟町の住人たちが登場します。
ただ、全体を通して思ったんですが、登場人物たちの影が薄いな。ジャンゴ視点という空間的な制約のせいでしょうか。
隣町にできたビストロやパン屋の人気を受けてつむじ風食堂や初美さんのパン屋の経営が立ち行かなくなります。月舟シネマや古本屋も青色吐息です。住人たちはどうやって切り抜けていくのか。
本名(?)はジャンゴなのに、「アンゴ」(横文字が苦手で覚えられない親方)とか「ゴン」(親方の奥さん)とかいろいろ呼ばれて混乱しないんでしょうか。
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