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朝井まかてさん「眩(くらら)」 [本☆☆☆]


眩 (くらら) (新潮文庫)

眩 (くらら) (新潮文庫)

  • 作者: 朝井 まかて
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/09/28
  • メディア: 文庫



葛飾北斎の娘で絵師だった応為(お栄)の半生を描いた物語です。骨太!

あたしはただ、絵を描いていたいだけ。愚かな夫への軽蔑、兄弟子への叶わぬ恋、北斎の名を利用し悪事を重ねる甥――人生にまつわる面倒も、ひとたび絵筆を握ればすべて消え去る。北斎に「美人画では敵わない」と言わせ、西洋の陰影表現を体得し、全身全霊を絵に投じた絵師の生涯を圧倒的リアリティで描き出す、朝井まかて堂々の代表作!
(出版社HPより)

以前に北斎を主人公にした小説(なんだったかな)を読んだときに娘の描写があった記憶はあるんですが、印象が薄かったです。
ですが、北斎の製作にも関わっていただけでなく、自らも相当の作品を残しているそうで、それほど史実には残っていないであろう応為の人生を描き切っている朝井さんの想像力と筆力に感服しました。

ただ画家としての日常だけでなく、己の才能への鬱屈や兄弟子である善次郎(渓斎英泉)への想いや日々の生活の情景も描かれ、江戸時代なのにリアリティを感じてしまいます。


表紙にもなっている「吉原格子先之図」の陰影の深みが写実以上のリアリティさを感じます。西洋画を研究し尽くして自分の絵に昇華させたひとつの結実です。

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