大崎梢さん「本バスめぐりん。」 [本☆☆]
移動図書館を舞台にした連作短編ミステリです。
本好きの人々が集う移動図書館「本バス めぐりん」で起こる日常の謎系ミステリはほんわかした雰囲気に包まれています。
「テルさん、ウメちゃん」「気立てがよくて賢くて」「ランチタイム・フェイバリット」「道を照らす花」「降っても晴れても」の5編が収められています。
都会を走る移動図書館、愛称「本バスめぐりん」。乗り込むのは六十五歳の新人運転手テルさんと、図書館司書ウメちゃんの、年の差四十のでこぼこコンビだ。巡回先で二人と一台を待ち受けるのは、利用者とふしぎな謎の数々で……。棚に並んだ本の中に、あなたの好みの一冊がありますように。本でつながる想いをのせて、めぐりんは今日も走る。本屋、出版社などさまざまな「本の現場」を描く著者が贈る、ハートフル・ミステリ。
(出版社HPより)
若手の司書「ウメちゃん」と元サラリーマンでシニアスタッフ兼運転手の「テルさん」のコンビがいい味を出しています。
本が好きで、啓発(というのは大げさか)に燃える「ウメちゃん」と、人付き合いが少し苦手の「テルさん」が16あるバスステーションで出会うミステリはいずれも結末がほっこりします。
立ち寄るバスステーションもビジネス街あり、高級住宅地ありと利用者も様々。持ち込まれる謎も様々でバリエーションに富みます。
ただ、短編で登場人物が多いので、どうしてもキャラクターの掘り下げが物足りなくなりました。特にウメちゃんこと梅園奈緒子の像がぼやけてしまいました。
是非ともシリーズ化してほしいです。
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