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朝井まかてさん「福袋」 [本☆☆]


福袋 (講談社文庫)

福袋 (講談社文庫)

  • 作者: 朝井 まかて
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: 文庫



江戸人情ものの短編集です。
どこか現代にも通じるもののあるテーマに思わずにやっとしてしまいました。

「ぞっこん」「千両役者」「晴れ湯」「莫連あやめ」「福袋」「暮れ花火」「後の祭」「ひってん」の8編が収められています。

1編目の「ぞっこん」では、「筆」が語り手になる。看板書きだったあるじと「筆」との出会いや情の深まりを、緩急をつけた落語調の文体で読ませる。2編目の「千両役者」は、ぱっとしない歌舞伎役者に千載一遇のチャンスが巡ってくる。もう後がない役者の焦りと、破滅と背中合わせの功名心が生々しく伝わる。3編目の「晴れ湯」は、湯屋(銭湯)を営む家に生まれた少女が主人公。客の戯作者や長屋のおかみさんたちのふるまい、子どもなりの家業への意気込み、江戸で恐れられた火事……。少女は大小のドラマに遭遇しながら、道楽者の父と働きづめの母という夫婦を、一つの男女の形として受け入れていく。続いて、自分のやりたいことを見つけた古着屋の少女が巻き込まれた揉め事に、愉快なオチを付けた4編目「莫連あやめ」。離縁された大喰らいの姉と、彼女を馬鹿にしながら利用する弟の、それぞれの顛末を活写した5編目「福袋」。さらに、女絵師が描いた枕絵が、昔の恋を照らす6編目「暮れ花火」。堅物の家主が、神田祭のお祭掛になってしまった7編目「後の祭」。その日暮らしの遊び人、卯吉と寅次の二人が助けた男からお礼にもらった品で商売を始める8編目「ひってん」。と、まさに福袋のように、何が入っているかわからないワクワク感とお得感。直木賞作家・朝井まかて初の短編集にして、第11回舟橋聖一文学賞を受賞した傑作!
(出版社HPより)

ファッションリーダー(「莫連あやめ」)やフードファイター(「福袋」)、100均ショップの発案者(「ひってん」)といった現代に置き換えても通用するようなテーマがあり、時代小説に慣れない人でも読みやすいのではと思いました。

そして、江戸っ子のきっぷの良さのようなテンポのよさは落語を聞いているかのような気がしますし、ちょっとした仕掛けがあって面白いです。

泣いて笑って、ほろっとして、どんでん返しがあってと江戸長屋を覗いているような短編集でした。

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