畠中恵さん「まことの華姫」 [本☆☆]
畠中恵さんの新シリーズです。探偵役は人形?
「序」「まことの華姫」「十人いた」「西国からの客」「夢買い」「昔から来た死」「終」の5編が収められています。
江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。
なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。
何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――
姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……
心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!
(出版社HPより)
元人形師の月草が操る文楽人形・お華が「まこと」を告げるという評判を聞きつけて相談事が持ち込まれるという、ある種の探偵ものでしょうか。
謎解きもなかなかバラエティに富んだものになっていて飽きません。
ただ、主人公が華姫なのか、月草なのか、それともお夏なのかはっきりせず、視点が定まらないような気がして安定感が欠けるなあと思いました。
作者の意図があるんでしょうが、華姫が勝手にしゃべり出しているような気がしてならなくて、違和感がずっと残りました。
現代の腹話術師で人形が女性ってあるんですかね。子供っていうのはあるけど、男性の腹話術師が女性の声を出すのは大変でしょう。
コメント 0