石持浅海さん「殺し屋、やってます。」 [本☆]
ビジネスライクな殺し屋がターゲットの身辺調査で気になった「ちょっとした謎」を解く短編集です。
ドライすぎない?
「黒い水筒の女」「紙おむつを買う男」「同伴者」「優柔不断な依頼人」「吸血鬼が狙っている」「標的はどっち?」「狙われた殺し屋」の7編が収められています。
〈「日常の謎」の奥深さ。危険な魅力にあふれた殺し屋探偵〉
ひとりにつき650万円で承ります。
経営コンサルティング会社を経営する富澤允。普通に社会生活を送っているが、彼は一人につき六百五十万円の料金で人を殺す、殺し屋だった。
依頼を受けたら引き受けられるかどうかを3日で判断。引き受けた場合、原則2週間以内に実行する。
ビジネスライクに「仕事」をこなす富澤だが、標的の奇妙な行動が、どうにも気になる。
なぜこの女性は、深夜に公園で水筒の中身を捨てるのか?
独身のはずの男性は、なぜ紙おむつを買って帰るのか?
任務遂行に支障はないが、その謎を放ってはおけない。
殺し屋が解く、日常の謎シリーズ、開幕です!
(出版社HPより)
二重盲検法という手法に倣って、依頼者と殺し屋の間に二人の連絡係を置くことでそれぞれにメリットが生まれるというルールが目新しかったです。
謎解きは主に殺し屋の富澤と連絡係の塚原による会話によるもので、状況把握から推論を積み重ねるという石持さんらしいシチュエーションです。さらに後半は富澤の恋人のユキちゃんが加わります。(「同伴者」だけが連絡係の「伊勢殿」が主人公です)
細かな点は措いても謎そのものは簡単に推測できてしまいます。ミステリとしては弱いかな。
警察に疑われないようにしているといいながらも依頼人に富澤の銀行口座を教えて報酬を振り込ませるとか、詰めの甘さが気になるところです。
また、富澤をはじめとした仲間たちに罪の意識がまったくないこと、富澤が殺し屋となった経緯などが不明でもやもやしたものが残りました。
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