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伊坂幸太郎さん「ホワイトラビット」 [本☆☆]


ホワイトラビット(新潮文庫)

ホワイトラビット(新潮文庫)

  • 作者: 伊坂幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: Kindle版



ストーリイテラーとしての伊坂さんの本領発揮です。
時間と空間のマジックを堪能しました。

仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。「白兎(しろうさぎ)事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。
(出版社HPより)

仙台で起こった立て籠もり事件「白兎事件」(とは誰も呼ばないらしいが)の始終を描いたエンタメ・ミステリ小説です。

ストーリイが進むにつれて覚える違和感や伏線が見事に回収されていく様子はとても気持ちのいいものです。

白兎が人質とともに立て籠もった家、SITの夏之目隊長と隊員たち、仙台港近くの倉庫とシーンが変遷します。
前半は時間的にも空間的にも入り組んだ複雑な状況で「もしや別次元か並行世界で起きているとかのタネ明かしはないよね」と疑っていました。
語り口が三人称というよりは作者の視点(神の視座とでもいいましょうか)で語られていいて、そんな状況や仕組みが終盤で明かされ、すっきりしました。

暴力的な描写はあまり好みではありませんでしたが、ひょんなことから事件に巻き込まれた黒澤が八面六臂の活躍をし、解決に導きます。
(そして、完全なチョイ役ですが、間抜けな泥棒2人組がいい仕事をします。機動隊員の制服のままタクシーに乗るなんて!)

伊坂マジックを楽しみました。

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