大崎梢さん「配達あかずきん」 [本☆☆☆]
本屋に入ってしまうとなかなか抜け出せません。そんな本屋を舞台にした短編5作のミステリです。
パンダは囁く
標野にて 君が袖振る
配達あかずきん
六冊目のメッセージ
ディスプレイ・リプレイ
の5編です。
都心に近い駅ビルにある成風堂書店の社員の杏子とアルバイトの多絵が謎を解決します。寝たきり老人の意味不明のリクエスト本を探したり、コミックを買った老女の失踪先を推理したりと、本と本屋を題材にしただけでこんなにいろいろなミステリになるんだと思いました。それも謎を解決するだけでなく、その背後にある問題にまで踏み込んでいるので単なる謎解きに終わっていません。
好きなのは「標野にて 君が袖振る」で、密やかな恋に少し悲しくも心温まる物語です。「六冊目のメッセージ」は5戦1勝 o(TヘTo) 、応援を送りたくなるラストシーンです。
それぞれ違う角度からですが、どれも本に対する愛情があふれた作品だと思います。また、本屋の仕事や悩みなど書店員だった大崎さんの経験がリアルに描かれていると思います。
続編も出ているのでぜひ読んでみたいと思います。
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