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道尾秀介さん「片眼の猿」 [本☆☆☆]


片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)

片眼の猿―One-eyed monkeys (新潮文庫 み 40-2)

  • 作者: 道尾 秀介
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/06/27
  • メディア: 文庫



道尾秀介さんの小説を読むのは『向日葵の咲かない夏』に続いて2作目ですが、どちらも終盤で足元を引っくり返された気分になりました。あちこちに仕掛けられた伏線とミスディレクションにまんまとはまってしまいました。来るのはわかっていたんですけどね。。。

三梨幸一郎は特異な「耳」を駆使する盗聴専門の私立探偵です。彼は黒井楽器からの依頼でライバルメーカーの谷口楽器のデザイン盗作疑惑を調査していました。
三梨は盗聴中に三梨は冬絵という女性を知ります。彼女が特異な「目」を持っていることを確信した三梨は彼女を探します。彼女が同業者であることを知り、スカウトします。
そんなある日、三梨が盗聴しているさなかに谷口楽器で殺人が起こります。殺されたのは三梨がマークしていた相手です。その時の様子に三梨はある疑惑を覚えます。冬絵が殺人犯ではないのか?
三梨には秋絵という同居人がいたのですが、自殺します。しかし、それにも冬絵が絡んでいるのではないかという疑惑も芽生えます。

並行して描かれる、三梨の事務所兼自宅であるローズ・フラットの住人がバラエティに富んでいます。
探偵の師匠である野原の爺さん、ダミ声のまき子婆さん、トウミとマイミの双子姉妹、トランプマジックと予知能力という奇妙な才能を持ったトウヘイ、スタッフでもやしのような顔の帆坂君。読んでいて一番違和感があった場面なのですが、彼らこそ物語の鍵を握っていました。

「片眼の猿」とはなにを意味するのか、それが明かされたとき、心を揺さぶられるとともに自省しました。
ミステリであるとともに生き方を描いた小説だと思いました。

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