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加野厚志さん「龍馬暗殺者伝」 [本☆☆☆]


龍馬暗殺者伝 (集英社文庫)

龍馬暗殺者伝 (集英社文庫)

  • 作者: 加野 厚志
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/08/20
  • メディア: 文庫



歴史の闇に埋もれた刺客を描いた時代小説です。
尊皇攘夷から武力倒幕へと突き進む歴史の中で数々の要人を暗殺したといわれる神代(こおしろ)直人を主人公にしています。
単行本のタイトルは「鮫」でしたが、文庫化するにあたってタイトルを変えました。このタイトル変更はセールス的には正解だったかも。

神代直人は周防の漁師でした。海女だった母を奪い漁船を襲うホオジロザメを父とともに狩った直人は毛利家から侍として取り立てられます。長州藩士の久坂玄瑞と出会い、吉田松陰の唱えた尊皇攘夷の流れに加わります。その過程で直人は二天一流を会得し、やがて非正規軍(なのかな?)の御楯隊に所属します。
剣の腕を買われて要人暗殺という仕事を与えられた直人は高杉晋作は失敗するものの、坂本龍馬や大村益次郎の暗殺に成功します。
しかし長州の仲間たちが明治政府の要職に就くなかで、維新後に直人のいる場所はありませんでした。

史料が全くといっていいほどない人物が史実の中にフィクションとして動き回るというのは時代小説の醍醐味だと思います。
特に龍馬暗殺に関しては実行者が定まっていないこともあって襲撃のシーンは迫力があって楽しめました。
また、父とともに海賊城に人質を救出に向かうシーンなどは活劇ものとして面白かったです。
一方で明治の元勲と呼ばれる人々について辛らつな物言いをしているのは作者自身が旧周防で育ったからなのでしょうか。(周防人と長州人は仲が悪いらしい)

物語が進むにつれて内省的になってペースダウンを感じていたのですが、終盤にライバル(長州の竜虎と称された相手)と刃を合わせるシーンがあって一気にテンション上がりました。

物悲しいながらもどこかすっきりする余韻でした。

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