SSブログ

石持浅海さん「顔のない敵」 [本☆☆☆]


顔のない敵 (光文社文庫)

顔のない敵 (光文社文庫)

  • 作者: 石持 浅海
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2009/01/08
  • メディア: 文庫



ここのところ石持さんのミステリが続いてます。面白いし、飽きないです。

対人地雷をテーマにした連作短編集です。最後の「暗い箱の中で」だけはデビュー短編でテーマからは外れます。

「地雷原突破」、「利口な地雷」、「顔のない敵」、「トラバサミ」、「銃声でなく、音楽を」、「未来へ踏み出す足」、「暗い箱の中で」が収められています。

作品の並び順が時系列ではバラバラになっていますが、登場人物が横断的にいくつかの物語に出ていて、ある作品では脇役だった人が別の作品では探偵役をするという形になっています。また、石持さんの作品らしく警察の介入がない/できない状況で真相を推理するというパターンは崩していません。
地雷除去のNGOスタッフ、故郷の安全を取り戻すために地雷除去に努める自らも地雷被害者のカンボジア人少年、自衛隊で地雷調達に関わる自衛官、国産地雷の開発に関わるメーカー技術者、ノンフィクションライターなどが登場します。それぞれの立場で地雷について考え・行動し、いみじくも巻き込まれた殺人事件を推理します。

なかでも「未来へ踏み出す足」がお気に入りです。殺害方法も斬新(不謹慎ですね)ながら、地雷除去に携わる人たちの力の結集が見事でした。

「暗い箱の中で」は石持さんのカラーがデビュー作から出ているということがわかる作品です。地震で停電した真っ暗なエレベーターの中で起こった殺人事件。犯人はエレベーターに乗り合わせた会社の同僚4人の中にいます。推理と議論だけで解決する手際は見事でしたが、思わず「そんな動機って!」と思ってしまうラストはどうなんだろう。

どんなテーマでも料理してしまい、なおかつ面白い作品に仕上げてしまう、石持さんすごいです。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。