三崎亜記さん「ニセモノの妻」 [本☆☆]
4組の夫婦をメインに据えたファンタジー作品です。不条理が醸し出す虚脱感、無力感を覚えます。
「終の筈の住処」「ニセモノの妻」「坂」「断層」の4編が収められています。
「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」。ある日、六年間連れ添った妻はこう告白し、ホンモノ捜しの奇妙な日々が始まる……。真贋に揺れる夫婦の不確かな愛情を描く表題作ほか、無人の巨大マンションで、坂ブームに揺れる町で、非日常に巻き込まれた四組の夫婦物語。奇想の町を描く実力派作家が到達した、愛おしき新境地。
(出版社HPより)
三崎さんの作品では四角四面というかお役所仕事というかしゃちほこばってというような出来事がありますが、『坂』では「坂」の定義で喧々諤々と(傍から見たら無益な)議論が繰り広げられる終盤には笑ってしまいました。
とりみきさんの『吉田さん危機一髪』で納豆についての議論で似たような展開になったのを不意に思い出しました。
「断層」はこれぞ三崎さんというべき不条理な出来事に主人公が見舞われる物語です。けれど、主人公と奥さんのバカップルの下りは読んでいてしんどかったです。
奥さんの思わせぶりな素振りが気になって、もう一ひねりあるのかと期待してしまいました。
次作も楽しみです。
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