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樋口有介さん「風景を見る犬」 [本☆☆]


風景を見る犬 (中公文庫)

風景を見る犬 (中公文庫)

  • 作者: 樋口 有介
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/09/21
  • メディア: 文庫



沖縄、夏、幼馴染、殺人、美女…と沖縄以外は樋口さんのテンプレート…安定の極みです。

那覇市大道の栄町にある売春宿の息子・香太郎は、高校最後の夏休みに近所のゲストハウスでバイトをする。悠々自適なマスター、個性的な美女たちに囲まれ、それなりに充実した毎日を過ごしていた。そんな中、栄町界隈で殺人事件が発生。当初、金の絡む単純な構図に思えた事件は、十八年前のある秘密が引き起こした悲劇だった―。
(「BOOK」データベースより)

観光客向けの表面的な沖縄ではない、裏通りの沖縄が舞台です。アウトサイダー(というほど危険ではなく)やダークさ(というほど闇ではなく)を感じないのは沖縄という気候や習俗のせいでしょうか。
池上永一さんの描く沖縄の物語ほど土着性は低いかな。

表向きはスナック、裏では売春宿を営む「さつき」に暮らす香太郎が夏休みの日常の中で起こった殺人事件に遭遇します。
栄町のスナックのママの殺人事件に続いて、香太郎のバイト仲間が殺害されるに及んで真相を突き止めるべく調査を開始します。
過去に遡って複雑な人間関係が引き起こした背景が明らかになります。

イケメンで女の子にもてるのに、ニヒルで老成した香太郎はいつもの樋口さん作品の主人公らしく。ヒロイン役がはっきりしないのですが、同級生の彩南、香太郎を振り回す柑奈、香太郎がからかう朋実と美女揃いです。
それと、香太郎の母親がいい味を出しています。

沖縄弁が呑気っぽさを感じさせ、しょーもないギャグがヘンなツボに入りました。
樋口さんの作品で一番笑わせられたかも。

終幕の香太郎と彩南の空港でのシーンは香太郎の優しさを感じてしまいました。

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