倉知淳さん「日曜の夜は出たくない」 [本☆☆]
猫丸先輩シリーズの第1作です。日常の謎系ミステリっぽいんですが、扱っているのは殺人事件の推理です。
「空中散歩者の最期」「約束」「海に棲む河童」「一六三人の目撃者」「寄生虫館の殺人」「生首幽霊」「日曜の夜は出たくない」「誰にも解析できないであろうメッセージ」「蛇足―あるいは真夜中の電話」の9編が収められています。
「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから?もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした小男こそ、名探偵猫丸先輩その人である。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了する倉知淳の本格的なデビュー作。
(出版社HPより)
それぞれが短編と中編の間くらいの分量で、軽く読めるのですが扱っているのは人の死が絡む、なかなか重い事件です。
ただ、警察とはなんの所縁もない猫丸先輩なので物的証拠などもわからず、あくまで状況だけの推理に留まります。仕掛けに想像がつくものもあれば、想像の斜め上を行くものもあり、楽しめました。
それにしても猫丸先輩って何者なんでしょうか。船頭のバイトをしていたり、演劇に出ていたりと神出鬼没です。こうなると、いつ登場するのかが気になって仕方がありません(笑)
そんな猫丸先輩に振り回される大学の後輩をはじめとする登場人物たちは災難ですね。
最後の「誰にも解析できないであろうメッセージ」「蛇足―あるいは真夜中の電話」の2編は総括というか、タネ明かしというか、ウラのウラが描かれるというか。ボーナストラックっぽい作品です。
作者のデビュー作にかける意気込みが感じられました。
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