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奥泉光さん「『吾輩は猫である』殺人事件」 [本☆☆]


『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫)

『吾輩は猫である』殺人事件 (河出文庫)

  • 作者: 奥泉 光
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2016/04/05
  • メディア: 文庫



長い!読んでも読んでもまだまだ先がある~。
そして怪作です。好き嫌いが分かれる作品です。

「猫」の最後に死んだはずが、目覚めたらなぜか上海にいた「吾輩」。そこへ飛び込んだ苦沙弥先生殺害の報、そして犯人はこの街に? 漱石文体を駆使した書下ろし1000枚、純文学をぶっ飛ばす奇想天外の大冒険ミステリー。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い」この一行に、大きな謎が仕組まれていたとは―。上海の街に苦沙弥先生殺害の報せが走り、猫の「吾輩」はじめ、おなじみ寒月、東風、迷亭に三毛子、さらには英国猫のホームズやワトソン、シャム猫の伯爵など、集まった人が、猫が入り乱れ、壮大な野望と謀議が渦を巻く。卓抜な模写文体とロマンで、日本文学の運命を変えた最強のミステリー。
(出版社HPより)

労作です。漱石調の文章は読み慣れないので大変ですが、テンポがよく語り口が楽しめます。
とにかく夏目漱石への敬愛の念が感じられます。

ホームズ、ワトソン、バスカヴィル家の狗に、モリアティー教授まで。更には「伯爵」「将軍」「虎君」「マダム」と呼ばれる猫たちが活躍します。

彼らの推理合戦はそれぞれの特徴があって面白いです。

なにより明治の時代の上海という混沌と猥雑さが漂ってくる空気感がよく、遠く離れた東京で起こった苦沙弥先生を殺害した犯人を推理するだけでなく、「吾輩」の失われた記憶や、そもそもなぜ「吾輩」に名前がないかまでを探ります。

ミステリで始まって、ミステリで進んだのに、最後はSFって、どゆこと?

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