神永学さん「悪魔と呼ばれた男」 [本☆☆]
うーん、レクター博士?
憎悪と不条理に満ちた現代に再び宿る悪魔―彼のことを悪魔と呼ぶなら、あなたの中にも悪魔はいる。 押し寄せる眩暈と慟哭のマジック―神永ミステリーを今こそ体験せよ!
空中に吊り下げられ、首に悪魔の象徴である逆さ五芒星が刻印された女の死体が発見される。秘密裏に警察が追うシリアルキラーの新たな獲物だ。凄惨で残忍なのに息をのむほど美しい殺人現場を残す犯行はまさに「悪魔」の仕業。警察への挑戦に等しい凶悪事件に、警視庁は少数精鋭の特殊犯罪捜査室を新設する。抜擢されたのは、臨床心理士で犯罪心理学のエキスパート・天海と捜査一課で検挙率トップを記録し「予言者」という異名を持つ阿久津。複雑で錯綜した事件は、罪と罰の本質をも問う衝撃的展開を見せる。そして訪れるミステリーの枠を越えるほどの深い感動。神永学が作家業15年の集大成として放つ圧倒的超絶ミステリー。
(出版社HPより)
阿久津の「予言者」と呼ばれる理由が早々にわかってしまい(現実には受け入れられないのでしょうが、そこはフィクションですし)、あとは犯人にどう肉薄していくかというところに興味が移りました。
その意味では「犯罪心理学のエキスパート」であるはずの天海の抜けの多さが捜査を停滞させているような気がしました。
猟奇的ながら美しささえ感じさせる犯人の動き、阿久津と天海の相容れないバディっぷり、二人の上司である「黒蛇」と言われる大黒警視正の狙い、警察内部の動きなど展開の先が気になって一気読みしてしまいました。
本当の意味で「悪魔」だったのは誰なのかな。