夏川草介さん「神様のカルテ 0」 [本☆☆]
「神様のカルテ」シリーズの前日譚とでもいいましょうか。
「有明」「彼岸過ぎまで」「神様のカルテ」「冬山記」の4編が収められています。
シリーズ300万部突破のベストセラー『神様のカルテ』にまつわる人々の前日譚であり、かつ珠玉の短編集です。栗原一止は、信州にある24時間365日営業の本庄病院で働く内科医。本作では、医師国家試験直前の一止とその仲間たちの友情、本庄病院の内科部長・板垣(大狸)先生と敵対する事務長・金山弁二の不思議な交流、研修医となり本庄病院で働くことになった一止の医師としての葛藤と、山岳写真家である一止の妻・榛名の信念が描かれます。ますます深度を増す「神カル」ワールドをお楽しみください。
(出版社HPより)
大学生の頃の栗原一止たち、一止を研修医として迎え入れる前の本庄病院、研修医としてキャリアを始めた頃の一止、謎多き女性 榛名の活躍を描いた短編集です。
一止の医者としての想いや成長や悩み、一止を受け入れることを決めた本庄病院の内科部長の板垣先生の思いといったシリーズで語られることのなかった背景が描かれています。
それまでの作品では一止をはじめとする医療関係者たちが患者と向き合う姿を中心に描かれてきていたので、エピソード・ゼロとして位置付けの物語は懐かしささえ覚えました。
職業人としてだけでなく、一人の人間として真摯に向き合っている人たちだからこそ(物語とはいえ)心を打たれるのかな、と思いました。
新刊書で「新章」が出たようです。文庫化が待ち遠しいです。