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河野裕さん「ベイビー、グッドモーニング」 [本☆☆]


ベイビー、グッドモーニング (角川文庫)

ベイビー、グッドモーニング (角川文庫)

  • 作者: 河野 裕
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2017/08/25
  • メディア: 文庫



死と再生をテーマにした連作短編集です。
けれども、重たさはまったくありません。

「プロローグ」「A life‐size lie」「ジョニー・トーカーの『僕が死ぬ本』」「八月の雨が降らない場所」「クラウン、泣かないで」「再び、プロローグ」、プロローグとエピローグと4編が収められています。

「私は死神です。つい先ほど、貴方は死ぬ予定でした。でも誠に勝手ながら、寿命を三日ほど延長させて頂きました」夏の病院。入院中の少年の前に現れたのは、ミニスカートに白いTシャツの少女だった。死神には、月ごとに集める魂の“ノルマ”があり、綺麗なところをより集めて新しい魂にする=「ペットボトルのリサイクルみたいなもの」と言うのだが…。『サクラダリセット』の河野裕&椎名優が贈る、死神と四つの濁った魂の物語。
(「BOOK」データベースより)

ユニクロの白Tシャツにデニムのミニスカートという姿をした少女が死神という設定は面白いです。
ノルマがあったり、逆に融通の利かないところがあったり、いまひとつ噛み合わない会話(「鎌なんて持っていたら警察に怒られるじゃないですか」)に面白さがあるのですが、必要性に関しては「?」です。
とはいえ、死神が主役というわけではなく、むしろ影は薄いです。

メインは死神に死を宣告された主人公が運命とどう向き合うかだと思います。
逆にいえば生(の終わり)とどう向き合うかとも言えると思います。

重いテーマではありますが、ずっしりとした重みはなく、読後感のいい作品でした。

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吉田修一さん「森は知っている」 [本☆☆☆]


森は知っている (幻冬舎文庫)

森は知っている (幻冬舎文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2017/08/04
  • メディア: 文庫



太陽は動かない』の前日譚です。吉田さんがインタビューで言っているところの「エピソード0」です。

南の島で知子ばあさんと暮らす十七歳の鷹野一彦。体育祭に興じ、初恋に胸を高鳴らせるような普通の高校生活だが、その裏では某諜報機関の過酷な訓練を受けている。ある日、同じ境遇の親友・柳が一通の手紙を残して姿を消した。逃亡、裏切り、それとも――! ?その行方を案じながらも、鷹野は訓練の最終テストとなる初ミッションに挑むが……。
(出版社HPより)

産業スパイとして活躍する鷹野一彦の高校時代が描かれます。

18歳になったらAN通信の諜報員として働くことが決まっている、ある種のモラトリアムかと思えば、激しい訓練は始まっているし、諜報員デビュー(?)もしていて、一筋縄ではいかないミッションでのアクションシーンはページを繰る手が止まりません。

一方で東京からきた転校生の詩織に対して鷹野の抱くほのかな恋心が青春小説のようで、これはこれでいいです。ぶっきらぼうに詩織に接する、快活でやんちゃな鷹野が見せる暗い過去や使命のギャップがメリハリがあって読んでいて楽しいです。

『太陽は動かない』でライバル役として登場したキムが今作でも登場しています。因縁としかいいようがありませんね。

続編も楽しみです。


2020年に藤原竜也さん主演で映画化&WOWOWで連続ドラマ化するそうです。
有料なのでドラマは見られないけど、映画は楽しみです。
https://realsound.jp/movie/2018/07/post-228286.html

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つるやのジャム [お店]

長野土産のいただきものです。

http://shop.tsuruya-corp.co.jp/shop/

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個人的にはりんごバターが好みです。定番中の定番ですよね。
りんごのしゃきしゃき感とバターのコクとまろやかさがマッチします。

つるこけももはほのかな酸味がアクセントになっています。
パンとかクラッカーに乗せて食べるとおいしいです。

いちごミルクはそのまま(笑)
ヨーグルトに合います。

ご馳走様でした。

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中村航さん「小森谷くんが決めたこと」 [本☆]


小森谷くんが決めたこと (小学館文庫)

小森谷くんが決めたこと (小学館文庫)

  • 作者: 中村 航
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



後半4分の1はぐっときましたが、全体的にはなんだかなー、という印象でした。

波瀾万丈な人生を送ってきたドラマの主人公のような人物ではなく、どこにでもいる普通の男子の物語を書いてみよう――。
作家との話し合いの末、編集者が連れてきたのは三十代前半の会社員。しかし、話を聞いてみると、彼の半生はちょっと普通とはいいがたいものだった。
愉快だった小学生時代。暗黒面に落ちた中学生時代。悪友とのおバカな高校時代。美容師の女性と初めてきちんとした交際をした大学時代を経て、紆余曲折の後、憧れの全国映画館チェーンに就職が決まる。
しかし、そんなある日、彼は余命2か月、末期がんであることを告げられてしまう。
(出版社HPより)

実話をもとに中村さんが料理するとこうなります、という感じのおバカな男子の半生が描かれます。
ただ、その人生の記述がどれだけ必要かという疑問がずっと引っかかったままでした。

おバカで「仁義なき」(と親友に言われる)性格が延々と語られる必然性を感じませんでした。
あるいは闘病生活とのギャップを出したかったのかもしれませんが、個人的にはイラっときただけで逆効果でした。

「闘病者はこうあるべき」というものはありませんが、共感できずに終わりました。

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ヤマウラさんから創業100周年記念品をいただきました [株主優待]

ありがとうございます[わーい(嬉しい顔)]

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一瞬、カゴメさんの優待にしては豪勢だな、と思っちゃいました。

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加藤廣さん「利休の闇」 [本☆]


利休の闇 (文春文庫 か 39-12)

利休の闇 (文春文庫 か 39-12)

  • 作者: 加藤 廣
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



秀吉と利休、二人の間の「茶の湯」の考え方の違いが次第に亀裂を生んでいく過程を描いた作品です。

利休vs.秀吉、最悪の結末までの真実とは一体――。
「信長の棺」著者が戦国最大にして最後の謎に挑む!
茶聖と称される千利休は、天下人となった豊臣秀吉の寵愛をなにゆえ受けたのか? しかし、最終的には秀吉から切腹を命じられ劇的な結末となったのはなぜか――井上靖の『本覚坊遺文』、野上弥生子の『秀吉と利休』、山本兼一の直木賞受賞作『利休にたずねよ』まで、日本人にとってこの出来事は永遠の謎であった。
戦国歴史ミステリーとして小泉純一郎元総理が絶賛、大ベストセラーとなった『信長の棺』にはじまる本能寺三部作ほか、独自の史観と圧倒的筆力で知られざる歴史の真実を掘り起こしてきた著者は、この「秀吉と利休の間で本当に何が起こっていたのか」を解き明かすべく、膨大な史料を読み込み、今回、まったく新しい解釈を読者に提示する。
明日をも知れぬ戦国時代、信長と武将にとって「茶」とは何だったのか? 天下を治めた秀吉がそれに変化を求めたがゆえの黄金の茶室と北野大茶会の理由とは? そしてそれを見抜くことのできなかった利休の誤算とは――84歳の著者が作家執念で挑んだ圧巻の傑作ミステリー!
(出版社HPより)

信長が天下を窺う時代、茶事が政治と結びついていきます。
信長に対しての茶人としては3番手だった利休(宗易)と、茶事のしきたりを学びたい秀吉(藤吉郎)との出会いがすべての始まりでした。

やがて秀吉が天下人への階段を駆け上がっていくのと同時に、茶の師匠である利休の権威もあがっていきます。
そして、次第に秀吉と利休の茶に対する考え方に乖離が生まれてきます。

基本的に利休目線で物語が進むせいか、周囲の人物たちの内面が描き切れていないように思いました。

それが逆に、秀吉と利休のすれ違いと意思疎通の欠如が生んだ亀裂が大きくなっていく様を感じることができます。
お互いが意固地になったのは権力者となった秀吉の傲慢さと、茶の道を究めようとする利休の頑なさゆえでしょうか。

権力者にすり寄り永らえるのがいいのか、我が道を進んだ挙句に滅びるのか、美学や生き方の問題でしょうか。


しかし、自慢ともとれる後書きに読後感の余韻が消し飛んでしまいました。

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チョコレートドリンクを作ってみました [料理]

嵐の松本潤さんのクリアファイル目当てに明治のキャンペーンに乗って板チョコを買いました。
http://www.sej.co.jp/cmp/choco1902.html

そのままでは甘いのでチョコレートドリンクを作ってみました。

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参考にしたレシピはこちら。
https://toiro-note.com/diary/diary-6347/

甘いけどココアパウダーでほろ苦い大人味のチョコレートドリンクができました。

板チョコがまだあるので、冬の間にまた作ろうと思います。

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麺屋翔 みなとの真鯛の塩ラーメン [お店]

新宿野村ビルにオープンした麺屋 翔の3号店です。

https://www.menya-syo.tokyo/minato

宇和島の真鯛出汁を使った塩ラーメンと白湯ラーメンをいただきました。

塩ラーメン。
鯛の風味が強く薫るラーメンは初めてです。
スープに鯛のクセが強く感じられましたが、トッピングのあおさの風味でバランスが取れたように感じました。
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白湯ラーメン。
白濁したトロリとしたスープは寒い時期に温まりそうです。
鶏ガラに鯛の風味が少し消されているように感じました。
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平日の19時くらいに行ったんですが、数人の客しかいませんでした。
店員のほうが多いくらい。
大丈夫かな。。。

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有栖川有栖さん「臨床犯罪学者・火村英生の推理 III ダリの繭」 [本☆☆]


臨床犯罪学者・火村英生の推理 III  ダリの繭(上) (角川ビーンズ文庫)

臨床犯罪学者・火村英生の推理 III ダリの繭(上) (角川ビーンズ文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/05/31
  • メディア: 文庫



臨床犯罪学者・火村英生の推理 III  ダリの繭(下) (角川ビーンズ文庫)

臨床犯罪学者・火村英生の推理 III ダリの繭(下) (角川ビーンズ文庫)

  • 作者: 有栖川 有栖
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/06/29
  • メディア: 文庫



作家アリスシリーズ3作目です。
容疑者が多くいて、その誰もが嘘を吐いていて、という複雑系のミステリです。

推理作家・有栖川有栖と、友人で相棒の犯罪学者・火村英生。有栖の新作完成と火村の誕生日を祝うささやかな宴で、2人は宝石チェーンの社長で資産家の堂条秀一と遭遇する。しかし後日、彼は死体となって発見された。まるで繭のような高級ヒーリング機材の中で、自慢のヒゲを失って。堂条の義弟と知り合いだったことから、有栖は事件に巻きこまれることに。火村先生はこの難問にどう挑む!?シリーズ屈指の人気を誇る傑作!! (上巻)
高級宝石チェーンの社長・堂条秀一殺人事件。その容疑がかかったのは、推理作家・有栖川有栖の友人・吉住だった。彼が警察で語り始めたのは、驚くべき事実。なんと目覚めた時、既に秀一は死んでいたという。動転し疑わしい行動を取ったが、殺してはいない。そう言う彼に、天才的犯罪学者の火村英生は、信じると告げる。更に発見された凶器により、事態は混迷を深め…。手掛かりを求め、火村とアリスが旅に出る、解決編登場!! (下巻)
(「BOOK」データベースより)

目撃者も凶器も見つからない状況で警察は関係者を手当たり次第に事情聴取してはシロ判定を繰り返します。
容疑者だけが増えていく展開は、しかも嘘の供述をしたり黙秘したりとなかなか事件の真相に辿り着けません。容疑者たちの関係性も複雑に絡み合っていて途中でワケわからなくなってしまいました。

それぞれの過去と人間関係が解決の鍵でした。なるー。

関係性でいうと、有栖川有栖と火村英生の関係もまだ深いものではなさそうです。シリーズが進むにつれて明らかになっていくんでしょうね。


有栖のふと推理を離れて拡散する過去の出来事って必要だろうか。確かに実生活ではそういうことってあるのだけれど、小説でやられても…。

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北山猛邦さん「『クロック城』殺人事件 [本☆]


『クロック城』殺人事件 (講談社文庫)

『クロック城』殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: 文庫



北山さんのデビュー作です。
終末観たっぷりの世界で繰り広げられる連続殺人ミステリです。

世界が終わる瞬間、あなたは誰と一緒にいたいですか?
「その時」だからこそわかる、本当に大切な人、守りたいもの。あなたなら、そのために人を殺せますか?
歓喜した。こんな本格の傑作に出会えようとは。――有栖川有栖
終焉をむかえつつある人類の世界。探偵・南深騎(みき)と菜美の下に、黒鴣瑠華(くろうるか)と名乗る美少女が現れた。眠り続ける美女。蠢く人面蒼。3つの時を刻む巨大な時計。謎が漂うクロック城に2人を誘う瑠華。そこに大きな鐘が鳴り響いたとき、首なし遺体が次々と現れた。驚愕のトリックが待つ、本格ミステリ。
「もしも、『クロック城』をブレイク前の習作だと思っている方がいたら、ぜひ本書を読んで勘違いに気づいていただきたい。(中略)シュアで美しい推理をたどり、ゴールに着いた時は、溜め息が出た。しごく素直な気持ちで、凄い、と思った。」――<有栖川有栖氏「解説」より>
(出版社HPより)

退廃的なのかと思いきや、意外と普通なキャラ揃いでした。南深騎(みき)とか黒鴣瑠華(くろうるか)など凝った名前だっただけに猶更。

深騎が探偵役かと思ったら、幼馴染の菜美でした。深騎って探偵社を経営しているんじゃなかったっけ?
しかも謎解きが根拠も証拠もないもので、「~だと思う」で延々と構築されるのはどうなのかと思います。

トリックは明かされてみればかの有名なアニメ映画を思い出し、イメージしやすかったです。

ですが、結末に至っては「え、これで終わり?」というあっさりとしたものでした。

結局<真夜中の鍵>は誰で、救世主なのか死神だったのか、なにもかもわからず仕舞いでモヤモヤ感だけが残りました。

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