川瀬七緒さん「女學生奇譚」 [本☆☆☆]
もうタイトルだけでワクワクしてしまいます。そして読み応えがあり、物語を堪能できます。
フリーライターの八坂駿は、オカルト雑誌の編集長から妙な企画の依頼をされる。「この本を読んではいけない……」から始まる警告文と古書を、竹里あやめという女が持ち込んできたのだ。その古書の本来の持主である彼女の兄は数ヶ月前に失踪、現在も行方不明。このネタは臭う……八坂は、タッグを組むカメラマンの篠宮、そしてあやめとともに謎を追う。いたずらか、狂言か、それとも――。最後まで目が離せない、サスペンスミステリー!
(出版社HPより)
『この本を読んではいけない。過去に読んだ者のうち五人が発狂し、二人が家から出られなくなり、三人が失踪している。 もう一度警告する。ただちに本を閉じよ。』という警告文は夢野久作の『ドグラ・マグラ』みたいです。
それだけで読書欲を掻き立てられます。
昭和初期の頃に女学生が書いたという作者不明の手記風の古書をめぐって真贋鑑定を手始めに、古書の内容から当事者を探し出し真相に迫ろうとします。
失踪した依頼人の兄はどこへ行ったのか。古書との関係は何なのか。
オカルトホラーで始まって、硬質なミステリが展開され、サスペンスへと続きます。挿入される『女學生奇譚』が狂気じみた雰囲気をまとっていてページを繰る手が止まりません。
明かされた組織というのがやや拍子抜けだったものの、辿り着いた真相の衝撃度といったら…。
メンタルの弱っている人は読まないほうがいいかもしれません。