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新海 誠さん「小説 天気の子」 [本☆☆]


小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

  • 作者: 新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/07/18
  • メディア: 文庫



映画『天気の子』を新海監督自らがノベライズしたものです。
小説でしかできないものが表現されながらも、物足りなさを覚えました。

高校1年の夏、帆高(ほだか)は離島から家出し、東京にやってきた。連日降り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜(ひな)に出会う。「ねぇ、今から晴れるよ」。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。長編アニメーション映画『天気の子』の、新海誠監督自身が執筆した原作小説。
(「BOOK」データベースより)

映画のシーンを思い出しながら読みました。
舞台となる池袋~代々木界隈は子供の頃から今まで日常的に行動している範囲でもあり、密集度や雑多な空気感が感じられました。特に終盤の警察から追われるシーンは背景のリアリティさもあって、まるでそこにいるかのようでした。

残念だったのは映画のストーリイをなぞっているだけな印象があったことです。
小説 言の葉の庭」では脇役の想いや背景なども掘り下げて描かれていて、物語がより複層的になったのですが、主人公の帆高の家出の理由や未成年の陽菜と弟が2人で暮らしているバックボーンなどが曖昧で彼らの抱えている葛藤や鬱屈、若さうえの繊細さが感覚としてしか(映画ならそれでもいいのでしょうが)伝わらなかったように思えました。

その反面、映画ではあまり描かれることのなかった須賀や夏美といった周囲の人々の過去や現在、抱えている悩みや葛藤などが描かれていて小説ならではの厚みを感じました。

そして、終幕の帆高の決意やひたむきさが陽菜と再会する線路脇の坂道(個人的にもピンポイントな場所!)は映画の情景とともに伝わってきました。

なお、映画版もそうでしたが、『君の名は。』の登場人物がカメオ出演しています。探してみてはいかがでしょうか。

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