大倉崇裕さん「天使の棲む部屋: 問題物件」 [本☆☆]
「問題物件シリーズ」第2弾です。
今回も犬頭光太郎が大暴れかと思いきや。
「天使の棲む部屋」「水の出る部屋」「鳩の集まる部屋」「終の部屋」の4編が収められています。
大島不動産販売・販売特別室の若宮恵美子は、桁外れの「問題物件」のクレーム処理に悪戦苦闘、危機一髪のところを何度も犬頭光太郎という奇天烈な男に助けられている。文字通り人間離れした力を持つ犬頭は、前社長の遺児・大島雅弘が大事にしているぬいぐるみ・犬太(いぬた)の化身なのか……?そんな恵美子に新たに押しつけられたのは、アメリカのアリゾナ州の外れに建つ洋館だった。「天使の棲む部屋」と呼ばれる一室では、犯罪者ばかりが何人も拳銃自殺を遂げており、死者は50人とも100人とも言われているというのだが――。
(出版社HPより)
それぞれが趣向の違うテイストのミステリになっています。
前作では人間離れした能力を持ち(そりゃ、ねえ)傍若無人で無敵の犬頭光太郎がたちどころに事件を解決してしまう展開でしたが、今作は犬頭の活躍は終盤の解決部分のみで、若宮恵美子がワトソン役をこなして情報収集をするミステリ導入部分がしっかりと描かれています。
その分だけ前作よりもストーリイが楽しめます。
とはいえ、肝心の探偵がちゃちゃっと解決しちゃうのは爽快でもあり、物足りなくもあり。
気楽に、それでいてミステリを楽しみたいときにはもってこいです。