畠中恵さん「なりたい」 [本☆☆]
様々な「なりたい」をテーマにしています。もはや安定のシリーズ第14弾です。
「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」の5編が収められています。
誰もがみんな、心に願いを秘めている。空を飛んでみたくて、妖になりたいという変わり者。お菓子を作りたいがため、人になりたがる神様。弟を思うがゆえ、猫に転生した兄。そして、どうしても子を育てる親になりたい女―。それぞれの切実な「なりたい」を叶えるために起きた騒動と、巻き込まれた若だんなの本当の望みは?願いをめぐる五つの物語がつまった「しゃばけ」シリーズ第14弾。
(出版社HPより)
大黒天をはじめとする神々まで登場しちゃうのはどうなんでしょう。人と妖と神ではパワーバランスが崩れるような気がするのですが。その意味では妖だけでよかったと思うんですが。…あ、貧乏神の金次がいるか。でも存在感はあるけど神っぽくないですね。
「なりたい」けど「なれない」という煩悶が根底にあって、そこから起こる騒動を若だんなが解決します。
シリーズ当初の安楽探偵系ミステリとは違ってきて、観念的な人生論的なテーマになっていますが、重くならない作風と妖たちの活躍でかみしめるような読後感を味わいました。