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東野圭吾さん「恋のゴンドラ」 [本☆☆]


恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)

恋のゴンドラ (実業之日本社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2019/10/04
  • メディア: 文庫



ゲレンデを舞台にしたお気楽に読める恋愛コメディ小説です。
でも、恋人や婚約者、妻がいながら浮気に走る男はサイテーですね。

「ゴンドラ」「リフト」「プロポーズ大作戦」「ゲレコン」「スキー一家」「プロポーズ大作戦リベンジ」「ニアミス」「ゴンドラリプレイ」の8編が収められています。

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃実とスノボ旅行へ。ところがゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。ゴーグルとマスクで顔を隠し、果たして山頂までバレずに済むのか。やがて真冬のゲレンデを舞台に、幾人もの男女を巻き込み、衝撃の愛憎劇へと発展していく。文庫特別編「ニアミス」を収録。
(出版社HPより)

オムニバス形式で、つながりの強弱はあるにしても、前作で登場していたキャラクターが主人公をつとめるように物語が流れていきます。

スキー場あるある的なネタをうまく使っているところは東野さんのストーリイテラーっぷりが遺憾なく発揮されています。
男女8人のスキー仲間がワイワイやっているのが目に浮かぶようです。


特設サイトで東野さんが直筆で「ごめんない、すみません。男というのはこういう動物です」と書かれていますが、フィクションとはいえそれを許容していいのかと疑問に思ってしまいました。

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山田正紀さん「大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ」 [本☆☆]


大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ (講談社文庫)

大江戸ミッション・インポッシブル 顔役を消せ (講談社文庫)

  • 作者: 山田 正紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/11/14
  • メディア: 文庫



SF作家として名高い山田正紀さんですが、伝奇時代小説も手掛けています。
映画の『ミッション・インポッシブル』を思い浮かべると、違和感が。

南町奉行所の最底辺、牢屋見廻り同心・川瀬若菜に吉原随一の花魁から相談が舞い込む。英国人の恋人からプレゼントされた大切な指輪が盗まれたという。江戸の闇を二分する泥棒寄合・川衆の棟梁という素顔を持つ若菜は、事件の背後に、天敵陸衆の蠢きを察知する。天保の江戸を舞台に華麗な殺し合いが今始まる!
(出版社HPより)

山田風太郎テイストの伝奇小説かと思ったんですが、読み進むうちによりフィジカル重視なアクションものだと思いました。もちろん、超人的でアクロバティックな術と技を駆使する戦いは伝統的な伝奇小説の色合いを残しています。

石川五右衛門の系譜という川衆の棟梁の川瀬若菜、のみの英二、七化けのおこう、いざよいの丑、カラクリもんもん、殺しのかま。彼らを抹殺しようとする陸衆の強烈な面々。
川衆と陸衆の歴史的背景は説明されましたが、川衆それぞれのユニークでバラバラな技はどうやって身に着けたの(忍者の里みたいな)というバックグラウンドが見えず、キャラクターの奥行のようなものが感じられずに平板な印象が残りました。

大ベテランの衰えない想像力に脱帽です。

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よもだそばの春菊天そば [お店]

日本橋と銀座にある立ち食いそば屋です。

http://www.yomoda-soba.com/

今回は春菊天そばをいただきました。

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春菊の独特の香りは揚げたせいかやや薄く感じましたがそれでも美味しいです。

春菊のほのかな苦みと麺やツユの甘さが合います。

ご馳走様でした。

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大倉崇裕さん「オチケン!」 [本☆☆]


オチケン! (PHP文芸文庫)

オチケン! (PHP文芸文庫)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2011/11/17
  • メディア: 文庫



表紙が地味だなぁ。
学園ミステリに落語を絡めるだけでなく、落語のネタを解決のヒントに組み込むという手の込んだ仕組みになっています。それだけでなく、部室を巡る駆け引きが連作短編の仕掛けとしてあり二重三重に楽しめます。

「幽霊寿限無」「 馬術部の醜聞 」の2編と「落語ってミステリー!?」(落語に関する蘊蓄を語ったエッセイ)が収められています。

大学に入学早々、廃部の危機に瀕したオチケン(落語研究会)に無理やり入部させられた越智健一。そこで待ち受けていたのは、幽霊が出るという噂の古い部室と、風変わりな二人の先輩だった。落語なんてまったく知らない上、先輩たちに振りまわされ、必修科目の出席もままならない。あげくはサークル間の陰謀に巻き込まれて…。ユーモアと落語のウンチク満載の中篇二篇を収録した連作ミステリー。
(「BOOK」データベースより)

目白にある学同院大学(ああ、あそこね)の落研に入部した(させられた)越智健一が謎を解決する「巻き込まれ」型のミステリです。

部員が2人になると部室を明け渡さなければならないルールがあり、落語研究会の部室を狙う幾つかのサークルが優柔不断な越智健一こと「オチケン」に難題を突き付けます。
それを先輩の岸と中村が出すヒントをもとに解決します。

伏線として語られる落語のネタが謎を解くヒントになっていて、その構成の妙に感心してしまいます。
オチケンを導く岸部長の大学生らしくない、なんとも脱力系な喋りと佇まいがユーモラスながらも一筋縄ではいかないキャラクターも見逃せません。

地味ですが味わいのある作品です。

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恩田陸さん「錆びた太陽」 [本☆]


錆びた太陽 (朝日文庫)

錆びた太陽 (朝日文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2019/11/07
  • メディア: 文庫



近未来SFです。
いろいろと冒涜じゃないのかな。。。

原発事故で汚染された地域を巡回するロボットたちのもとに、謎の女が現れた――。
彼女の目的は一体何なのか!?

立入制限区域をパトロールするロボット「ウルトラエイト」の居住区に現れた、国税庁から派遣されたという謎の女・財護徳子。だが、彼らには、人間の訪問が知らされていなかった。戸惑いながらも、人間である徳子の命令に従うことにするのだが・・・・・・。
(出版社HPより)

ボス、ジーパン、デンカ…「ウルトラエイト」のメンバーの名前が昭和世代には懐かしく感じました。8番目の名前の「シンコ」って誰?と思ったら、いました…マニアすぎる。
また、シンコが行方不明になって一体減ったときに「ウルトラセブン」に変更しようとしたものの権利の関係で使えないというくだりは思わず噴きました。
更にはサンダーバードやワイルドセブンのネタもあり、恩田さんのサブカル愛が溢れていました。

けれど、この世界観はどうなんでしょう。原発推進への警鐘というならともかく、まだまだ避難を余儀なくされている人たちのことを考えると受け入れがたいものがありました。
コミカルでサブカル感満載なお気楽な作品として楽しめなかったのはマジメすぎるからでしょうか。

九十九山、利毛川とぼかしているのに、鹿島神宮だけはっきり書いてあるのはなぜ?

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畠中恵さん「まことの華姫」 [本☆☆]


まことの華姫 (角川文庫)

まことの華姫 (角川文庫)

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



畠中恵さんの新シリーズです。探偵役は人形?

「序」「まことの華姫」「十人いた」「西国からの客」「夢買い」「昔から来た死」「終」の5編が収められています。

江戸は両国。暮れても提灯の明かりが灯る川沿いの茶屋は、夜も大賑わい。通りの向こうの見世物小屋では、人形遣いの芸人、月草の名が最近売れてきている。
なんでも、木偶の姫様人形、お華を相方に、一人二役の話芸を繰り広げるのだという。それも、話芸が目当てというより、お華に会いに来るお客が多いというのだ。
何故なら。“まことの華姫”は真実を語る――
姉を殺したのは、実の父かもしれないと疑う、小屋一帯の地回り山越の娘・お夏。
六年前の大火事で幼な子を失い、諦めきれずに子ども捜しを続ける夫婦。
二年前に出奔したまま行方知れずの親友かつ義兄を探しにはるばる西国からやってきた若旦那。
そして明らかになる語り部・月草の意外な過去……
心のなかに、やむにやまれぬ思いを抱えた人々は、今日も真実を求めてお華の語りに耳を澄ます。
しかし、それは必ずしも耳に心地よいものばかりとは限らなくて……
快刀乱麻のたくみな謎解きで、江戸市井の人々の喜怒哀楽を描き出す、新たな畠中ワールド!
(出版社HPより)

元人形師の月草が操る文楽人形・お華が「まこと」を告げるという評判を聞きつけて相談事が持ち込まれるという、ある種の探偵ものでしょうか。
謎解きもなかなかバラエティに富んだものになっていて飽きません。

ただ、主人公が華姫なのか、月草なのか、それともお夏なのかはっきりせず、視点が定まらないような気がして安定感が欠けるなあと思いました。

作者の意図があるんでしょうが、華姫が勝手にしゃべり出しているような気がしてならなくて、違和感がずっと残りました。


現代の腹話術師で人形が女性ってあるんですかね。子供っていうのはあるけど、男性の腹話術師が女性の声を出すのは大変でしょう。

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宇治茶 伊藤久右衛門の宇治抹茶だいふく [お店]

https://www.itohkyuemon.co.jp/corporate/products/

季節限定の宇治抹茶豆大福と、宇治抹茶大福です。

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きれいに切れなかったので断面はなしで[ふらふら]

薄皮はもちもちとしていて、抹茶餡は甘みとしっかりとした抹茶の風味。豆大福はほろっとした豆がアクセントになっています。

美味しいなあ。

ご馳走様でした。

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畠中恵さん「とるとだす」 [本☆☆]


とるとだす (新潮文庫)

とるとだす (新潮文庫)

  • 作者: 畠中 恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/11/28
  • メディア: 文庫



シリーズ第16弾です。飽きのこない作品です。

「とるとだす」「しんのいみ」「ばけねこつき」「長崎屋の主が死んだ」「ふろうふし」の5編が収められています。

若だんなの父、藤兵衛が倒れた!長崎屋の大黒柱の危機に、妖たちも大慌て。一太郎は、父の命を救うため、薬種屋たちのいさかいに飛び込み、蜃気楼のなかに迷い込み、恐ろしい狂骨の怨念につきまとわれながら、ついには神が住む常世の国を目指すことになるのだが―。八面六臂の活躍を見せる若だんなは父を助けることができるのか!?不思議と怪奇に彩られた、スリル満点のシリーズ第16弾。
(「BOOK」データベースより)

「長崎屋の主が死んだ」って、ひらがな以外のタイトルの作品ってシリーズで初めてじゃないでしょうか。物騒でしかも内容に合ったタイトルではありませんね…。

藤兵衛が意識不明となり、父親を救い出すため若だんなが蜃気楼の中や常世の国に向かうなどファンタジー色が強くなっているものの、半面、人間の醜さが描かれた現実的な作品もありとりとめのなさを感じないでもありません。

けれど、ちょっとずつですが若だんなが成長している姿を実感できます。
シリーズ当初は安楽椅子探偵ものでしたが、今はどちらかというと若だんなの知恵と妖たちの活躍で事件や難題を解決するかたちになっています。
いつの間にかミステリの枠を越えて独自の世界観を生み出しています。

こうなると、終わらせ方が難しくなりますね。

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京菓子司 都の花かずら [お店]

いただきものです。
大納言小豆を寒天で固めた和菓子です。

http://kyoto-miyako.com/product/hanakazura/

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かりっとほぐれる外側の歯ごたえと、大納言小豆のほろっとする柔らかさの中のほのかな甘みが美味しいです。
手土産にいいかも。

ご馳走様でした。

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☆本多孝好さん「dele3」 [本☆☆]


dele3 (角川文庫)

dele3 (角川文庫)

  • 作者: 本多 孝好
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/06/14
  • メディア: 文庫



終わったと思っていたシリーズ第3作です。
いろんな意味で「ゾワゾワ」します。

「リターン・ジャーニー」「スタンド・アローン」の中編2作が収められています。

あなたの死後、不要となるデータを削除します。
――『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』
故人より託されたデータを極秘に削除する会社『dele.LIFE』。その所長、坂上圭司が姿を消した。
リサイクルと遺品整理のアルバイトをしていた真柴祐太郎は、圭司の姉・舞からその話を聞き、かつての雇い主を捜し始める。
だが、手がかりと思しきファイルは得体の知れぬ陰謀へと繋がっていき――(「リターン・ジャーニー」)。
誰からも愛された女子中学生が自殺した。彼女の死と、遺されたデータの謎に迫る「スタンド・アローン」を含む全2篇。
データに込められた秘密や想いが胸を震わす、記憶と記録をめぐるミステリ。待望の第3弾!
(出版社HPより)

依頼人の死後にパソコンやスマホに残された不都合なデジタル記録を遺族に知られずに抹消するという仕事であるため、所長の坂上圭司の駆使するデジタル技術が面白いです。

また、ナナミという中学生が加わります。不登校で頭の回転が速いIT少女によって祐太郎のフィールドワーク(?)の動きが加速します。

「リターン・ジャーニー」と「スタンド・アローン」では方向性が異なります。
前者は国家規模のサスペンス色の強い作品で、後者は女子中学生の自殺の原因を探るもの。
けれども、隠されていた姿や本多さんの意図が見えてくるにつれてぞわぞわと落ち着かない気分になります。

「ミツメ」こと夏目直という謎めいた人物が気になります。シリーズの鍵を握るキャラクターかもしれません。まあ、言っていることはデジャヴュであるのですが。

続編、あるんでしょうか。楽しみに待っています。

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