SSブログ

中村航さん「小森谷くんが決めたこと」 [本☆]


小森谷くんが決めたこと (小学館文庫)

小森谷くんが決めたこと (小学館文庫)

  • 作者: 中村 航
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



後半4分の1はぐっときましたが、全体的にはなんだかなー、という印象でした。

波瀾万丈な人生を送ってきたドラマの主人公のような人物ではなく、どこにでもいる普通の男子の物語を書いてみよう――。
作家との話し合いの末、編集者が連れてきたのは三十代前半の会社員。しかし、話を聞いてみると、彼の半生はちょっと普通とはいいがたいものだった。
愉快だった小学生時代。暗黒面に落ちた中学生時代。悪友とのおバカな高校時代。美容師の女性と初めてきちんとした交際をした大学時代を経て、紆余曲折の後、憧れの全国映画館チェーンに就職が決まる。
しかし、そんなある日、彼は余命2か月、末期がんであることを告げられてしまう。
(出版社HPより)

実話をもとに中村さんが料理するとこうなります、という感じのおバカな男子の半生が描かれます。
ただ、その人生の記述がどれだけ必要かという疑問がずっと引っかかったままでした。

おバカで「仁義なき」(と親友に言われる)性格が延々と語られる必然性を感じませんでした。
あるいは闘病生活とのギャップを出したかったのかもしれませんが、個人的にはイラっときただけで逆効果でした。

「闘病者はこうあるべき」というものはありませんが、共感できずに終わりました。

nice!(21)  コメント(0) 
共通テーマ:

加藤廣さん「利休の闇」 [本☆]


利休の闇 (文春文庫 か 39-12)

利休の闇 (文春文庫 か 39-12)

  • 作者: 加藤 廣
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/06
  • メディア: 文庫



秀吉と利休、二人の間の「茶の湯」の考え方の違いが次第に亀裂を生んでいく過程を描いた作品です。

利休vs.秀吉、最悪の結末までの真実とは一体――。
「信長の棺」著者が戦国最大にして最後の謎に挑む!
茶聖と称される千利休は、天下人となった豊臣秀吉の寵愛をなにゆえ受けたのか? しかし、最終的には秀吉から切腹を命じられ劇的な結末となったのはなぜか――井上靖の『本覚坊遺文』、野上弥生子の『秀吉と利休』、山本兼一の直木賞受賞作『利休にたずねよ』まで、日本人にとってこの出来事は永遠の謎であった。
戦国歴史ミステリーとして小泉純一郎元総理が絶賛、大ベストセラーとなった『信長の棺』にはじまる本能寺三部作ほか、独自の史観と圧倒的筆力で知られざる歴史の真実を掘り起こしてきた著者は、この「秀吉と利休の間で本当に何が起こっていたのか」を解き明かすべく、膨大な史料を読み込み、今回、まったく新しい解釈を読者に提示する。
明日をも知れぬ戦国時代、信長と武将にとって「茶」とは何だったのか? 天下を治めた秀吉がそれに変化を求めたがゆえの黄金の茶室と北野大茶会の理由とは? そしてそれを見抜くことのできなかった利休の誤算とは――84歳の著者が作家執念で挑んだ圧巻の傑作ミステリー!
(出版社HPより)

信長が天下を窺う時代、茶事が政治と結びついていきます。
信長に対しての茶人としては3番手だった利休(宗易)と、茶事のしきたりを学びたい秀吉(藤吉郎)との出会いがすべての始まりでした。

やがて秀吉が天下人への階段を駆け上がっていくのと同時に、茶の師匠である利休の権威もあがっていきます。
そして、次第に秀吉と利休の茶に対する考え方に乖離が生まれてきます。

基本的に利休目線で物語が進むせいか、周囲の人物たちの内面が描き切れていないように思いました。

それが逆に、秀吉と利休のすれ違いと意思疎通の欠如が生んだ亀裂が大きくなっていく様を感じることができます。
お互いが意固地になったのは権力者となった秀吉の傲慢さと、茶の道を究めようとする利休の頑なさゆえでしょうか。

権力者にすり寄り永らえるのがいいのか、我が道を進んだ挙句に滅びるのか、美学や生き方の問題でしょうか。


しかし、自慢ともとれる後書きに読後感の余韻が消し飛んでしまいました。

nice!(24)  コメント(0) 
共通テーマ:

北山猛邦さん「『クロック城』殺人事件 [本☆]


『クロック城』殺人事件 (講談社文庫)

『クロック城』殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: 文庫



北山さんのデビュー作です。
終末観たっぷりの世界で繰り広げられる連続殺人ミステリです。

世界が終わる瞬間、あなたは誰と一緒にいたいですか?
「その時」だからこそわかる、本当に大切な人、守りたいもの。あなたなら、そのために人を殺せますか?
歓喜した。こんな本格の傑作に出会えようとは。――有栖川有栖
終焉をむかえつつある人類の世界。探偵・南深騎(みき)と菜美の下に、黒鴣瑠華(くろうるか)と名乗る美少女が現れた。眠り続ける美女。蠢く人面蒼。3つの時を刻む巨大な時計。謎が漂うクロック城に2人を誘う瑠華。そこに大きな鐘が鳴り響いたとき、首なし遺体が次々と現れた。驚愕のトリックが待つ、本格ミステリ。
「もしも、『クロック城』をブレイク前の習作だと思っている方がいたら、ぜひ本書を読んで勘違いに気づいていただきたい。(中略)シュアで美しい推理をたどり、ゴールに着いた時は、溜め息が出た。しごく素直な気持ちで、凄い、と思った。」――<有栖川有栖氏「解説」より>
(出版社HPより)

退廃的なのかと思いきや、意外と普通なキャラ揃いでした。南深騎(みき)とか黒鴣瑠華(くろうるか)など凝った名前だっただけに猶更。

深騎が探偵役かと思ったら、幼馴染の菜美でした。深騎って探偵社を経営しているんじゃなかったっけ?
しかも謎解きが根拠も証拠もないもので、「~だと思う」で延々と構築されるのはどうなのかと思います。

トリックは明かされてみればかの有名なアニメ映画を思い出し、イメージしやすかったです。

ですが、結末に至っては「え、これで終わり?」というあっさりとしたものでした。

結局<真夜中の鍵>は誰で、救世主なのか死神だったのか、なにもかもわからず仕舞いでモヤモヤ感だけが残りました。

nice!(26)  コメント(0) 
共通テーマ:

村上春樹さん「1Q84」 [本☆]


1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)

1Q84 BOOK1-3 文庫 全6巻 完結セット (新潮文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/05/28
  • メディア: 文庫



村上春樹さんの話題作です。やっと読めました。
天吾に書き直させたら半分の分量になったんじゃないでしょうか。

BOOK1〈4月‐6月〉前編
1Q84年―私はこの新しい世界をそのように呼ぶことにしよう。青豆はそう決めた。Qはquestion markのQだ。疑問を背負ったもの。彼女は歩きながら一人で肯いた。好もうが好むまいが、私は今この「1Q84年」に身を置いている。私の知っていた1984年はもうどこにも存在しない。…ヤナーチェックの『シンフォニエッタ』に導かれて、主人公・青豆と天吾の不思議な物語がはじまる。
BOOK1〈4月‐6月〉後編
ふかえりはきっと特別な存在なんだ、と天吾はあらためて思った。ほかの少女たちと比べることなんてできない。彼女は間違いなくおれにとって、何らかの意味を持っている。それなのにどうしてもそのメッセージを読み解くことができない。…『空気さなぎ』、宗教集団さきがけ、リトル・ピープル、そして夜空に浮かぶ月。謎に満ちた「1Q84年の世界」を生きる天吾と青豆の運命は―。
BOOK2〈7月‐9月〉前編
心から一歩も外に出ないものごとなんて、この世界には存在しない―君たち二人の運命が、ただの成り行きによってここで邂逅したわけではない。君たちは入るべくしてこの世界に足を踏み入れたのだ。この1Q84年に。…雷鳴とどろく夜、青豆はさきがけのリーダーから「秘密」を明かされる。天吾と父親の宿命的な再会、そして猫の町。二人が迷いこんだ世界の謎はまだ消えない。
BOOK2〈7月‐9月〉後編
青豆に言わなくてはならないことがいくつもあった。しかし今ここで天吾にできるのは、ただ名前を口にすることだけだ。青豆、と彼は呼びかけた。それから思い切って手を伸ばし、空気さなぎの中に横たわっている少女の手に触れた。…天吾と青豆、空に二つの月が浮かぶ1Q84年の世界で、二人はもう一度めぐり逢えるのか。深い森の中へ分け入るように、物語は続いて行く―。
1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉前編
青豆は「さきがけ」のリーダーが最後に口にした言葉を覚えている。「君は重い試練をくぐり抜けなくてはならない。それをくぐり抜けたとき、ものごとのあるべき姿を目にするはずだ」。彼は何かを知っていた。とても大事なことを。―暗闇の中でうごめく追跡者牛河、天吾が迷いこんだ海辺の「猫の町」、青豆が宿した小さき生命…1Q84年、混沌の世界を貫く謎は、はたして解かれるのか。
1Q84 BOOK3〈10月‐12月〉後編
その誰かは、そこにあるものが本当にあることを確認するために、彼の幅広い手をいっそう強く握りしめた。長く滑らかな指、そして強い芯を持っている。青豆、と天吾は思った。しかし声には出さなかった。彼はその手を記憶していた。―青豆と天吾、二人は「物語」の深い森を抜けてめぐり逢い、その手を結び合わせることができるのか。ひとつきりの月が浮かぶ夜空に向かって…。
(「BOOK」データベースより)

スポーツインストラクターで裏稼業で暗殺者の顔を持つ青豆と、予備校講師を続けながら小説家を目指している天吾の純愛ストーリイです。それぞれがとあるカルト教団に関わることになり、「1984」の世界から移ってしまった並行世界の「1Q84」で互いを追い求めることになります。

主人公である青豆と天吾の章が交互に描かれます。BOOK3からはそこに牛河という二人を追う男の章が加わります。

ほぼ青豆と天吾(と牛河)の独白で進む物語は、青豆が行動に制限がかかっていることもあって転換点を見つけにくいほど、淡々と進みます。
天吾は「ふかえり」という少女の書いた『空気さなぎ』という小説を推敲するのですが、この物語も天吾に推敲させたら半分くらいになったのではないかと思います。

ファンタジーなんですが、「1Q84」と呼ばれる世界がなにを示唆するのかわかりませんでした。
まさか、青豆と天吾の純愛を描くためだけに存在するわけではないと思いますが。

ジョージ・オーウェルの小説『1984年』を意識しているのは確かでしょう。そこにカルト教団によるテロ事件が絡んでいるように思いますが、青豆と天吾の純愛というメインストーリイにこれらのサブストーリイとして絡める意図や成果というものが読み取れませんでした。

nice!(17)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

北山猛邦さん「『瑠璃城』殺人事件」 [本☆]


『瑠璃城』殺人事件 (講談社文庫)

『瑠璃城』殺人事件 (講談社文庫)

  • 作者: 北山 猛邦
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/03/14
  • メディア: 文庫



ミステリの体裁をとっているものの、ほとんどファンタジーです。

1989年、日本。1243年、フランス。1916年、ドイツ―時代と国を超えて繰り返される密室殺人。図書館で胸を貫かれた女性、城から忽然と消えた6人の騎士、戦地で消えた4人の遺体。それらに隠れた、ある男女の恋の運命。不可能犯罪も輪廻転生したのか?切ない思いと仰天トリックが全編彩る本格ミステリ。
(出版社HPより)

時間と場所を変えて密室殺人が行われます。
日本の「最果ての図書館」で室内で倒れている女性を助けるべく扉を開けると、短剣が胸に突き刺さっていました。
フランス「瑠璃城」では馬を使って1日かかる泉で騎士団が首なし死体で発見されます。しかし、門番は彼らが城を出ていくのを見ておらず、半日前に城内で目撃されていました。
フランスとドイツとの戦線で、塹壕に残されていた4体の首なし死体が僅かな時間で消失します。

何度生まれ変わっても殺しあう運命にある男女(記憶は引き継いでいる)が、その運命に終止符を打つべく抗う様子がよかったです。

各年代のトリックは「あー、確かに」と納得するものなんですが、生まれ変わりの設定に関しては理解
しづらいものがありました。
トリックに関しても大掛かりで、運任せなところもあり、すんなり納得まではいきませんでした。大胆で斬新ではありますが。

nice!(21)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

坂木司さん「ホリデー・イン」 [本☆]


ホリデー・イン (文春文庫)

ホリデー・イン (文春文庫)

  • 作者: 坂木 司
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/04/07
  • メディア: 文庫



「ホリデー」シリーズの外伝です。主人公の大和以外の登場人物たちを語り手とした短編集です。

「ジャスミンの部屋」「大東の彼女」「雪夜の朝」「ナナの好きなくちびる」「前へ、進」「ジャスミンの残像」の6編が収録されています。

「初めまして、お父さん」。
元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の登場で一変! 思いもよらず突然現れた息子と暮らすことになった大和は、宅配便会社「ハニー・ビー・エクスプレス」のドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続。
宅配便会社の仲間や、ホストクラブ経営者のおかま・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜らも巻き込んでの、大騒動を描いた『ワーキング・ホリデー』が刊行されたのは2007年。その後の大和と進の物語を書いた『ウィンター・ホリデー』が2012年、同年には『ワーキング・ホリデー』が映画化され、文庫も含め「ホリデー」は人気シリーズへと成長。
本書には親子の物語ではなく、彼らを取り巻く人々の物語、いわば「ホリデー」シリーズの外伝ともいえる6つの短編が収録。
ハートウォーミングな6つの物語。
(出版社HPより)

まあ、ハートウォーミングではあるんですが、分量のせいか、あっさりしているというか、さらっと読めるというか、物足りないというか。

手に取ったときから「薄いなー」と思っていた本の厚みがそのまま内容に反映されたような気がしました。

もうちょっとページを増やして書き込んでもよかったのではないかと思いました。

nice!(14)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

伊藤計劃さん、円城塔さん「屍者の帝国」 [本☆]


屍者の帝国 (河出文庫)

屍者の帝国 (河出文庫)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/11/06
  • メディア: 文庫



伊藤計劃さんの遺作(というかほとんどプロットしか残っていなかったそうです)を円城塔さんが書き上げた作品です。
伊藤計劃さんのそれまでの作品と趣が違うように感じるのは仕方ないことなのでしょうか。

19世紀末――かつてフランケンシュタイン博士が生み出した、死体より新たな生命「屍者」を生み出す技術は、博士の死後、密かに流出、全ヨーロッパに拡散し、屍者たちが最新技術として日常の労働から戦場にまで普及した世界を迎えていた。後にシャーロック・ホームズの盟友となる男、卒業を間近に控えたロンドン大学の医学生ジョン・H・ワトソンは、有能さをかわれて政府の諜報機関に勧誘されエージェントとなり、ある極秘指令が下される。世界はどこへ向かうのか? 生命とは何か? 人の意識とは何か?若きワトソンの冒険が、いま始まる。
(出版社HPより)

途中からなんかやたらと難解になってしまって、それが円城塔さんのテイストなのか、読み進めるのが苦痛でした。

それでも生者と「屍者」が共存(というより搾取が近いかな)する世界、死者を「屍者」とする仕組みなど魅力的な世界を堪能しました。

ロンドンからグレートゲーム真っ只中のアフガニスタン、維新後の東京、そしてアメリカはサンフランシスコからニューヨークへ、そしてロンドンへ戻ります。

同時代に活躍した実在やフィクション上の人物をこれでもかとぶち込んでくる辺りは面白かったです。
主人公のジョン・H・ワトソンをはじめとしてヴァン・ヘルシング教授、リットン卿やアレクセイ・カラマーゾフ、大村益次郎、川路利良など知っている名前を見つける楽しさもありました。諜報機関の「M」というのはアレかな。「M」の弟で「探偵稼業を営む」人物というのは…。
さらには「ノーチラス号」まで登場したのには思わず「懐かしい」と思ってしまいました。

世界観や仕掛けは魅力たっぷりなのに、なんで読み進まなかったのか。読み終わったときに「やっと読み終わった」と思ってしまったのか。
作家との相性が悪かったんでしょうか。つくづく残念でした。

nice!(19)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

大倉崇裕さん「凍雨」 [本☆]


凍雨 (徳間文庫 お 41-1)

凍雨 (徳間文庫 お 41-1)

  • 作者: 大倉 崇裕
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/10/03
  • メディア: 文庫



大倉さんの山岳ものということで手に取ってみましたが、趣のないサバイバル小説でした。

福島県北部に位置する単独峰、嶺雲岳。この山を十二年ぶりに訪れた深江信二郎は、亡き親友である植村の妻真弓と、遺児佳子の母娘の姿を見た。一方、無頼の男たちを束ねる遠藤達也も入山し、謎の中国人組織と銃撃戦を開始した。深江と母娘は、その争いに巻き込まれてしまう。山が血で染まっていく……。彼らの正体は? そして、深江と母娘の過去の因縁とは? 気鋭が山岳アクション小説に新境地を拓いた!
(「BOOK」データベースより)

亡き親友の妻子が犯罪者集団と中国人組織との抗争に巻き込まれ、主人公の深江が救い出すというシンプルなストーリイです。
それにしても、深江、強すぎます。

ドンパチ(死語?)満載、ハードなアクションてんこ盛りでハードボイルドなマスターキートンみたいな。

大倉さんの山岳ミステリを期待していただけに、まるでベクトルの違う内容に大いに肩透かしをくらいました。

nice!(21)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

東野圭吾さん「雪煙チェイス」 [本☆]


雪煙チェイス (実業之日本社文庫)

雪煙チェイス (実業之日本社文庫)

  • 作者: 東野圭吾
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2016/11/29
  • メディア: 文庫



白銀ジャック」「https://tomo-all.blog.so-net.ne.jp/2015-05-01」の関連作品です。
タイトルと惹句を読んで、イヤな予感がしたんだ。

殺人の容疑をかけられた大学生の脇坂竜実。彼のアリバイを証明できる唯一の人物―正体不明の美人スノーボーダーを捜しに、竜実は日本屈指のスキー場に向かった。それを追うのは「本庁より先に捕らえろ」と命じられた所轄の刑事・小杉。村の人々も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に予測不能のチェイスが始まる!どんでん返し連続の痛快ノンストップ・サスペンス。
(「BOOK」データベースより)

能天気な大学生の脇坂と、一緒に行動する友人の波川を追う刑事の追跡劇のはずなんですが、妙に緊迫感がないというか、お間抜けというか、脱力感を伴うというか。

これはないわ。

スキーパトロールの根津昇平とスノーボードクロスの瀬利千晶の姿とその行く末が見届けられただけよかった、かな。

nice!(19)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

柊サナカさん「谷中レトロカメラ店の謎日和」 [本☆]


谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

谷中レトロカメラ店の謎日和 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 柊 サナカ
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2015/09/04
  • メディア: 文庫



下町 谷中にあるフィルムカメラ専門店を舞台にした「日常の謎」系ミステリです。

「開かずの箱の暗号」「暗い部屋で少年はひとり」「小さなカメラを持った猫」「タイムカプセルをひらくと」「紫のカエル強盗団」「恋する双子のステレオカメラ」「あなたを忘れるその日まで」の7編が収められています。

東京下町の風情残る谷中にたたずむレトロカメラ店・今宮写真機店。中古のクラシックカメラを専門に扱っている三代目店主の今宮龍一とアルバイト山之内来夏の元には、さまざまな客が謎を運んでくる。カメラの修理も得意とする今宮は「修理の基本は観察です」と言い、鋭い観察力と推理力で次々と謎を解いていく―。数々の魅力的な名機とカメラを愛する人々が織り成す、心温まる連作ミステリー。
(「BOOK」データベースより)

主人公の名前が来夏(らいか)ってどうよ、と最初に思ってしまいました。
探偵役の龍一がカメラオタクってのもテンプレート通りな気がしました。まあ、修理もこなすクラシックカメラ専門店なら仕方ないかとも思いますが。

カメラの知識がないと謎解きができないという点ではフェアではないと感じました。
逆に、「写ればいい」とおもっている人間にはクラシックカメラの奥深さや蘊蓄は新鮮でもありました。

残念ながら、谷中のよさがあまり出ていないと思いました。

nice!(13)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。