SSブログ

畠中恵さん「さくら聖・咲く」 [本☆☆]


さくら聖・咲く: 佐倉聖の事件簿 (新潮文庫)

さくら聖・咲く: 佐倉聖の事件簿 (新潮文庫)

  • 作者: 恵, 畠中
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫



現代小説なんですが、畠中節だとどうしても時代がかってしまうように思います。

序章「プレエントリー」と、「ナイショナイショ」「羊羹こわい」「聖、シューカツ中」「神、降臨」「電信柱は友か」「さくら咲く」の6編が収められています。

弟を養うためサラリーマンになる! そう決意した大学三年の佐倉聖。元政治家、大堂の下で事務員をしているが、コネ採用はお断りだ。事務所がらみの難問は鮮やかに解決する聖も、就職活動では悪戦苦闘。面接先の広告代理店では事件に遭遇、商社ではインターンシップを突然クビに。奮闘する聖の元に、身に覚えのない五通の内定通知が届く――。爽快感あふれる青春ユーモア・ミステリー。
(出版社HPより)

就職活動に邁進する佐倉聖ですが、元大物政治家の大堂の事務所員という肩書が企業側の思惑を呼んでしまい、一癖も二癖もある大堂や関係する議員たちを巻き込んだドタバタ劇が繰り広げられます。

元ヤンキーの聖はやられたらやり返すだけでなく、観察力や洞察力を駆使して難題を解決していきます。毎回目のつけどころに感心してしまいます。

結末が思ったよりも軟着陸だったのが残念ですが、楽しめた作品でした。

nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:

東川篤哉さん「探偵少女アリサの事件簿-溝ノ口より愛をこめて」 [本☆☆]


探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて (幻冬舎文庫)

探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて (幻冬舎文庫)

  • 作者: 東川篤哉
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2016/10/07
  • メディア: Kindle版



新シリーズです。思ってもみない探偵役という設定は東川さんならではですが、トリックが弱く、無理があるように思いました。

「名探偵、溝ノ口に現る」「名探偵、南武線に迷う」「名探偵、お屋敷で張り込む」「名探偵、球場で足跡を探す」の4編が収められています。

名探偵は小学生!?
天才探偵少女とヘタレ三十男の迷コンビが難事件に挑む!
東川篤哉、最新ユーモア・ミステリ!

就職先のスーパーを誤発注した大量のオイルサーディーンとともにクビになり、地元で「なんでも屋タチバナ」を始めた、俺、橘良太。 三十一歳、独身、趣味はナシ、特技は寝ること。そんな平凡な三十男の俺にある日、子守り依頼が舞い込んだ。
報酬につられて出かけた豪邸で待ちかまえていたのは、ロリータ服の美少女。
わずか十歳にして自らを探偵と信じる無垢で無謀な少女、綾羅木有紗だった――。
「ねぇ、おじさん、あたしのこと、ナメてんじゃないの?」

なんでも屋の良太の前に現れた、探偵を名乗る十歳の美少女•有紗。
有紗に殺人鬼の濡れ衣を着せられた良太は、事件を一緒に調べることになって……。
(出版社HPより)

なんでも屋の橘良太と子守を頼まれた十歳の美少女 綾羅木有紗の凸凹コンビが事件を解決します。
良太と有紗の掛け合いの面白さやおバカな展開など安定のユーモアミステリです。

有紗の両親は世界的に有名な探偵・綾羅木慶子と 全国的に有名な探偵・綾羅木孝三郎。 このくだりの度に父・孝三郎が涙目になるのが毎度のことながら可笑しいです。

各話ともそれぞれ異なるトリックで、緩ーい仕掛けながらもなかなか謎解きするのが難しいです。
この辺りが東川さんの絶妙なさじ加減なのかな、と思います。

事件解決のシメは有紗のミサイルキック。コミック的ですね。

続編の副題は「今回は泣かずにやってます」。本当か?

nice!(19)  コメント(0) 
共通テーマ:

西尾維新さん「掟上今日子の備忘録」 [本☆☆]


掟上今日子の備忘録(文庫版) 忘却探偵(文庫版) (講談社文庫)

掟上今日子の備忘録(文庫版) 忘却探偵(文庫版) (講談社文庫)

  • 作者: 西尾維新
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2018/07/13
  • メディア: Kindle版



「忘却探偵シリーズ」第1弾です。ドラマを見たのは5年前かあ。
うーん、ミステリなんでしょうけど、解決編がなぁ。設定は面白いけれど。

「初めまして、今日子さん」「紹介します、今日子さん」「お暇ですか、今日子さん」「失礼します、今日子さん」「さようなら、今日子さん」の5編が収められています。

掟上今日子―またの名を、忘却探偵。すべてを一日で忘れる彼女は、事件を(ほぼ)即日解決!あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう不遇の青年・隠館厄介は今日も叫ぶ。「探偵を呼ばせてください―!!」スピーディーな展開と、忘却の儚さ。果たして今日子さんは、事件の概要を忘れる前に解決できるのか?
(「BOOK」データベースより)

「史上最も運が悪い男」「冤罪体質」と称される隠館厄介は、行く先々で事件に巻き込まれ、犯人に疑われるという不幸・不運・不遇な青年です。
そんな彼は、自分の無実を証明するため数々の名探偵のストックを持っていて、状況に応じて使い分けているんだそうです。

そして、至急を要する事件に呼ばれるのが「忘却探偵」掟上今日子です。一度寝てしまうと全ての記憶が消去される彼女は即日解決をモットーとしているのです。

設定と制約が特殊すぎて、事件解決が力技だったりアンフェアだったりするのがミステリとしては残念です。
逆に、どんな手で解決に導くのか、という楽しみがあります。

厄介の今日子への想いがいじらしく、今日子の潔さに惹かれます。過去になにがあったのか、おいおい明らかになるのでしょうか。

nice!(15)  コメント(0) 
共通テーマ:

伊坂幸太郎さん「ホワイトラビット」 [本☆☆]


ホワイトラビット(新潮文庫)

ホワイトラビット(新潮文庫)

  • 作者: 伊坂幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2020/07/10
  • メディア: Kindle版



ストーリイテラーとしての伊坂さんの本領発揮です。
時間と空間のマジックを堪能しました。

仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていく――。「白兎(しろうさぎ)事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。
(出版社HPより)

仙台で起こった立て籠もり事件「白兎事件」(とは誰も呼ばないらしいが)の始終を描いたエンタメ・ミステリ小説です。

ストーリイが進むにつれて覚える違和感や伏線が見事に回収されていく様子はとても気持ちのいいものです。

白兎が人質とともに立て籠もった家、SITの夏之目隊長と隊員たち、仙台港近くの倉庫とシーンが変遷します。
前半は時間的にも空間的にも入り組んだ複雑な状況で「もしや別次元か並行世界で起きているとかのタネ明かしはないよね」と疑っていました。
語り口が三人称というよりは作者の視点(神の視座とでもいいましょうか)で語られていいて、そんな状況や仕組みが終盤で明かされ、すっきりしました。

暴力的な描写はあまり好みではありませんでしたが、ひょんなことから事件に巻き込まれた黒澤が八面六臂の活躍をし、解決に導きます。
(そして、完全なチョイ役ですが、間抜けな泥棒2人組がいい仕事をします。機動隊員の制服のままタクシーに乗るなんて!)

伊坂マジックを楽しみました。

nice!(14)  コメント(0) 
共通テーマ:

喜多喜久さん「科警研のホームズ-毒殺のシンフォニア」 [本☆☆]


科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

科警研のホームズ 毒殺のシンフォニア (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 文庫



「科警研のホームズ」シリーズ第2弾です。
果たして研修生3人は「ホームズ」を現場復帰させることができるんでしょうか。

「毒殺のシンフォニア」「溶解したエビデンス」「致死のマテリアル」「輪廻のストラテジー」の4編が収められています。

科学警察研究所―通称「科警研」の本郷分室の三人の研修生たちは、研修期間が延びたことで、「解決が困難な、不可解で難解な案件」すなわち「面白そうな事件」を選定し、調査に取り組んでいた。鋭い洞察力と推理の切れ味で、かつて警察関係者から「科警研のホームズ」とまで称されていた室長の土屋は、相変わらず事件より大学の研究に夢中な様子であったが、あるときそんな彼に異変が…。
(「BOOK」データベースより)

前作で「科警研のホームズ」こと土屋を呼び戻すことに失敗した本郷分室の3人の研修生たちは無事(?)研修の延長という形でミッション継続となります。

得意分野が異なる3人がそれぞれのアプローチで科学的分析に取り組み、行き詰ったところで土屋がさらっと解決(というか糸口を示唆)するというパターンは前作通りなんですが、研修生のキャラがより立ってきたことと、被害者の死因や凶器などが科学的分析で明らかになる面白さがありました。

分室は閉鎖されてしまいますが、いつかこの3人が登場するのを楽しみにしています。

nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:

伊坂幸太郎さん「AX」 [本☆☆]


AX アックス (角川文庫)

AX アックス (角川文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: Kindle版



グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』がシリーズ作品だったとは。
なにより構成の妙が楽しめます。

「AX」「BEE」「Crayon」「EXIT」「FINE」の5編が収められています。

最強の殺し屋は――恐妻家。

物騒な奴がまた現れた!
物語の新たな可能性を切り開く、エンタテインメント小説の最高峰!

「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。
兜がこの仕事を辞めたい、と考えはじめたのは、克巳が生まれた頃だった。
引退に必要な金を稼ぐため、仕方なく仕事を続けていたある日、爆弾職人を軽々と始末した兜は、意外な人物から襲撃を受ける。
こんな物騒な仕事をしていることは、家族はもちろん、知らない。
(出版社HPより)

伊坂さんの殺し屋が登場するシリーズでは家族(妻と息子)がいるというのは異色だと思います。物語の展開も異色といえば異色だし、張り巡らされた伏線の回収の数々は伊坂さんらしいともいえます。
なにより筋金入りの恐妻家というのが可笑しいです。

殺し屋稼業から足を洗いたい「兜」とそれを止めようとする斡旋人の医者、「兜」と対峙する殺し屋たち、そして「兜」と妻子の三様が各編で展開されます。

おおよそ殺し屋らしくない「兜」(でもしっかりと仕事は遂行する)のキャラクターと、恐妻家っぷりと、そんな夫婦関係をどこか醒めた目で見ながらも的確なフォローに回る息子の様子がエンタメ小説として楽しめます。

傍から見たらそこまでして家族で、夫婦でありたいの、って思うほどなのですが、魚肉ソーセージのくだりや同業者との共感といった場面にに「兜」の家族にかける愛情が感じられるのです。



各編の構成とタイトルの謎については解説で書かれています。なるほど、そういう経緯があったんですね。
それにしても「あの映画」からインスピレーションを得るとは、想像もしませんでした。

nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:

東川篤哉さん「ライオンは仔猫に夢中」 [本☆☆]


ライオンは仔猫に夢中 平塚おんな探偵の事件簿3 (祥伝社文庫)

ライオンは仔猫に夢中 平塚おんな探偵の事件簿3 (祥伝社文庫)

  • 作者: 東川篤哉
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2020/04/15
  • メディア: 文庫



「平塚おんな探偵の事件簿」シリーズ第3弾です。エルザと美伽の探偵コンビが湘南を暴れまわります。
しかし、なんだろ、この表紙は…

「失われた靴を求めて」「密室から逃げてきた男」「おしゃべり鸚鵡を追いかけて」「あの夏の面影」の4編が収められています。

〈ライオン探偵〉生野エルザ&美貌(自称)の助手・川島美伽。ガールズ探偵、危機一髪!?
絶対に負けられない、プライドを懸けた“謎解き”がいま始まる!
不運続きの二人に降りかかる、難事件と災難の雨あられ。

転落死した社長令嬢の部屋から赤いハイヒールが消えたのはなぜ?
サークル一の美人女子大生が死に際にVサインを残したわけは?
独居老人の最期を見ていた鸚鵡(おうむ)が命を狙われる理由とは?
海の家で出会った女性をイケメン英会話講師が捜すわけとは?
愛と推理とガールズトークあふれる〈生野エルザ探偵事務所〉は、今日もなんとか(?)営業中!
(出版社HPより)

おバカさ加減満載の導入部から、迷走気味の展開を見せて、最後はしっかり解決するというお決まりのパターンなんですが、マンネリ感を覚えないのは東川さんならではなんでしょうね。
ちょいちょい平塚の自虐ネタも入り、それも面白いです。

「密室から逃げてきた男」などトリックの強引さはあるものの、各編で仕掛けが違っていて、趣向が凝らされているので読んでいて楽しいです。

逆に「失われた靴を求めて」は真犯人の目星は付いたんですが、赤いハイヒールの謎が分かりませんでした。謎解きされて思わず膝を打ちました(嘘です)。

続編も楽しみです。

nice!(16)  コメント(0) 
共通テーマ:

喜多喜久さん「科警研のホームズ」 [本☆☆]


科警研のホームズ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

科警研のホームズ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

  • 作者: 喜多 喜久
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2018/11/06
  • メディア: 文庫



初読みの作家さんです。
「科警研のホームズ」と呼ばれる大学准教授の安楽椅子探偵ものです。とはいっても出番はほんのちょっと。

「プロローグ」「残光のメッセージ」「楽園へのナビゲーター」「惜別のロマンチシズム」「伝播するエクスタシー」の4編が収められています。

科学警察研究所・本郷分室にやってきた三人の研修生たちは、科警研の仕事に興味を示さない室長・土屋の態度に困惑する。かつての彼は科警研の研究室長を務め、鋭い洞察力と推理の切れ味で、警察関係者から「科警研のホームズ」と称されていたらしいが…。土屋にやる気を取り戻させるため、そして自分たちの成長のため、三人は科警研の所長・出雲から持ち込まれる事件の調査に邁進する。
(「BOOK」データベースより)

科捜研はテレビドラマにもなっていたので知っていましたが、科警研は知らなかったです。
科捜研は実際の捜査の分析などを現場で行うのに対して、科警研は捜査の方法論や新しい分析・解析技術の研究を行うんだそうです。

そんな科警研の「本郷分室」に半年間の研修生としてやってきた3人の若者が科学的な分析で難事件を解決していきます。
化学的分析に強い北上、データ解析に長けた伊達、生物的鑑定が得意な安岡というキャリアも得意分野も性格も異なる男女が科学的捜査を行うのですが、「本郷分室」設立には科警研所長の出雲のある目的があったのです。
それは「科警研のホームズ」と呼ばれた土屋を科警研に呼び戻すためでした。

迷宮入りかと思われた事件に3人が科学的捜査で挑むのですが、壁に突き当たり、室長の土屋によるアドバイスで解決の糸口を掴みます。
その意味では安楽椅子探偵以前かもしれません。

化学はまったく疎いんですが、分かりやすいように説明されていますのでつかえることもありません。
トリックも無理のないもので「なろほどー」と思わせされるものでした。
3人の研究員たちもそれぞれキャラが立っていて、自然と役割分担ができあがり、成長ストーリイも楽しめます。

続編が楽しみです。

nice!(21)  コメント(0) 
共通テーマ:

斎藤千輪さん「トラットリア代官山」 [本☆☆]


トラットリア代官山 (ハルキ文庫)

トラットリア代官山 (ハルキ文庫)

  • 作者: 斎藤千輪
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2019/11/15
  • メディア: 文庫



初読みの作家さんです。
京野菜をつかった隠れ家的創作イタリアン、近くにあったら常連になりそうです。

「Prologo(序幕)」「京都の加茂ナス-カフェ経営者・永野鈴音の物語-」「Intermezzo Uno(幕間1)」「和牛入りライスコロッケ-ウェブサイト編集者・工藤ルカの物語-」「Intermezzo Dos(幕間2)」「黄金色のそうめんカボチャ-ネイリスト・片桐桜の物語-」「Intermezzo Tre(幕間3)」「甘美なるシェリー酒-女支配人・大須薫の物語-」「Epilogo(終幕)」の4編と5つの掌編が収められています。

華やかさと古き良き時代の面影が混在する代官山。その路地裏に佇む「トラットリア代官山」には、様々な事情を抱えるお客様が訪れる。迎えるのは、亡き父から受け継いだ店を気丈に守り続ける男装の女支配人・大須薫と、彼女を支える天涯孤独の年下敏腕シェフ・安東怜。二人が京野菜の創作イタリアンと機転の利いたおもてなしで、ゲストを悩ます問題を解決に導いていく―。ハイソな街の陰にある人間同士の絆を、極上の料理と共に描く優しいグルメ小説。
(「BOOK」データベースより)

京野菜を使った健康的なイタリア料理の数々がとにかく美味しそうです。そして、料理に合わせるワインも魅力的です。
代官山の住宅街にある隠れ家的トラットリアは常連がつき、予約で埋まる人気店です。

グルメ小説のような料理の数々と、客の持ち込む謎を大須薫が解き明かすミステリ小説です。

男装のオーナーにして女性支配人の大須薫と、敏腕シェフ 安東怜のコンビもいいです。
凛とした大須薫と、弟のようでいざとなると男としても頼りになる安東怜。

代官山って駅前を外れると意外に住宅地が多い印象なので、地元の常連が足繁く通うというのも頷けます。

まだ主人公2人の過去など謎が残っています。続編で明らかになるのでしょうか。

nice!(19)  コメント(0) 
共通テーマ:

倉知淳さん「日曜の夜は出たくない」 [本☆☆]


日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1998/01/30
  • メディア: 文庫



猫丸先輩シリーズの第1作です。日常の謎系ミステリっぽいんですが、扱っているのは殺人事件の推理です。

「空中散歩者の最期」「約束」「海に棲む河童」「一六三人の目撃者」「寄生虫館の殺人」「生首幽霊」「日曜の夜は出たくない」「誰にも解析できないであろうメッセージ」「蛇足―あるいは真夜中の電話」の9編が収められています。

「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから?もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした小男こそ、名探偵猫丸先輩その人である。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了する倉知淳の本格的なデビュー作。
(出版社HPより)

それぞれが短編と中編の間くらいの分量で、軽く読めるのですが扱っているのは人の死が絡む、なかなか重い事件です。

ただ、警察とはなんの所縁もない猫丸先輩なので物的証拠などもわからず、あくまで状況だけの推理に留まります。仕掛けに想像がつくものもあれば、想像の斜め上を行くものもあり、楽しめました。

それにしても猫丸先輩って何者なんでしょうか。船頭のバイトをしていたり、演劇に出ていたりと神出鬼没です。こうなると、いつ登場するのかが気になって仕方がありません(笑)
そんな猫丸先輩に振り回される大学の後輩をはじめとする登場人物たちは災難ですね。

最後の「誰にも解析できないであろうメッセージ」「蛇足―あるいは真夜中の電話」の2編は総括というか、タネ明かしというか、ウラのウラが描かれるというか。ボーナストラックっぽい作品です。
作者のデビュー作にかける意気込みが感じられました。

nice!(17)  コメント(0) 
共通テーマ:

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。